日本とフランス「ピル」への考え方はこんなに違う コロナ禍には処方箋なしで買えるようになった

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ピルによる身体へのリスクが取り上げられることになり、フランスではピルパニックが起きたため、2013年の3月には第3、第4世代ピルの保険での払い戻しが終了することになった(第2世代ピルは変わらず、払い戻しの対象となっている)。この騒動以降ピルの使用は徐々に低下して、避妊リングやコンドームの使用へと変える人々が出始めた。この傾向は現在も続いている。

2016年においては、女性の71.8 %がピル、避妊リング、インプラント、パッチ剤などの医療的な避妊方法を行い、そのうち最も使用されていた(36.5 %)のがピルによる避妊だ。

年代別としては、15~19歳の36.5 %、20~24歳の36.5 %、25~29歳の47.8 %、30~34歳の35.4 %(避妊リングの使用は31.6%)、35~39歳の30%(同34.6%)となっている。低下傾向にあるといっても、若い人たちにとっては、ピルはいまだに最も使われている避妊手段なんだよね。

話している途中で友だちが…

くみ:個人的な経験談だけど、そもそも私がピルの存在を知ったのは、日本の女子中高校時代、保健の授業で妊娠の仕組みや避妊についての話を聞いたときだった。女性の月経周期に沿ってピルを飲むことで妊娠をコントロールできる避妊方法の1つだと教わった気がするけれど、詳しいことは覚えていない。

その後、恋人ができてピルを飲むことを考えたこともあったのだけど、結局何か身体にとり込むのが少し怖いというのもあって止めた。それにピルを飲んでいる知人や友人などが身近にいなくて、参考に話を聞く機会もなかった。それっきり、だいぶ長い期間、私の人生にピルは関係のないものだと思っていた。

それから数年後フランスに留学して、さらに何年も経ったころフランス人の同年代の女友達の家に泊まっていたとき、何か話しながら彼女が無造作に薬を飲んだ。私は彼女が何かの病気で、その治療のための薬を飲んでいるのだと思った。

彼女とはかなり仲良かったので、彼女が病気だと知らなかったことに私は勝手にショックを受けて、でも私が知らなかったということは話したくない病気なのかもしれないし……などと考えつつ、それでも彼女が私の目の前で薬を飲んだということは聞いても大丈夫かな、と思っておそるおそる聞いたの。

「え?病気じゃないよ?あ、これはピルだよ」と遠距離恋愛中だった彼女があっさり答えるのを聞いてすごくびっくりしたのを覚えてる。そんなに普通に、無造作に飲むものなんだ?と思った。

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