フランス人の「消費行動」が劇的に変わった事情 生鮮の宅配普及がマルシェに与える影響は?

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パリ市が支援するマルシェの新鮮な野菜や果物の通販サービスなど、これまであまり普及してこなかった生鮮食品の宅配サービスが広がっている(写真:佐々木氏提供)

フランスに住む日本人女性のくみと、日本に住んだ経験を持つフランス人男性のエマニュエルが日本とフランスの相違点について語り合う本連載。今回はコロナ禍の中、フランスで急激に広がった食品や消費財のネット宅配、そして医療などのオンラインサービスが、フランス人の消費活動や社会にどういった変化を及ぼしているかについて考えました。

急激に広がる生鮮食品のデリバリー

エマニュエル : 前回(フランス、2年で「仕事・家族・恋愛」こんな変わった」は、コロナ禍によるフランスで起きた変化の1つとしてテレワークについて話したけれど、このほかにも食品などさまざまな商品だけでなく、文化や医療にもオンラインサービスや宅配サービスが広がったよね。同じような変化は日本でもみられるのかな?

くみ : 日本はもともとオンラインやテレビ、いわゆるお取り寄せなど遠隔でのショッピングのインフラが整っているよね。日本に帰国するたびに、フランスでは買えないものを大量にまとめて買うのだけど、滞在先のホテルでも、どこでも短い日数で届けてくれて本当に助かる。

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スーパーマーケットの中には、生鮮食品含めてその日のうちに届けてくれるところもある。フランスではプロ向けしかないと思うけど冷蔵・冷凍の宅配便なども日本では個人でも気軽で安価に利用できて本当にすごいよね。もちろん、あまりに短期間での配達に慣れすぎて宅配業者の負担が大きくなりすぎている問題は特に近年目にするのだけど。

エマニュエル : 最近パリのバス、地下鉄やYoutubeなどでよく目にするのが、「モンマルシェ」という生鮮食品の宅配サービスを扱うサイトの広告だ。このサイトでは豊富な種類の生鮮食品を、指定した時間に自宅に配達してくれて、60ユーロ以上の購入の場合には送料が無料になる。

宅配可能な地域はまだパリ3、4、16区と郊外の一部のみと狭い範囲にもかかわらず、あれだけたくさんの広告を出せるということは、かなり力を入れているのだろうね。こうしたサービスを行う企業は、パリのような大都市ではコロナ以降急激に増えたと言えるね。

以前にもこういったサービスはあったけれど、生鮮食品の選択肢が狭く、送料無料となる最低購入価格も今よりも高く設定されていた。そして何よりも、指定できる日時が「午前中」「午後」といった大雑把なものである上に、指定した時間帯に配達されないなんてこともザラ。それがコロナ以降では当日・翌日配達や1時間単位で時間を指定できたり、配達員との接触による感染予防のためにドアの前に置いて行ってくれる置き配などのオプションも選べたりする。

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