フランス人の「消費行動」が劇的に変わった事情 生鮮の宅配普及がマルシェに与える影響は?

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最大の利点の例をあげるなら、もしパリのような大都市に住んでいる場合、新鮮でおいしい食材を買おうとしたら、家の近くのマルシェへ行って、その中で一番いい品質の食材を扱うお店を探して、そこで売っている商品の中から選んで買うということになり、時間とエネルギ―が必要になる。

それが、農家の人たちから商品を直接購入するサイトであれば、フランス中いろんな地域のおいしく新鮮なものが一度に手に入れることができる。例えば、僕は先日こういったサイトで、マルセイユ地方の数種類の旬のイチジクとブドウ、ロッテガロンヌ地方のイチゴ、プルーン、マドレーヌ、イル・ド・フランスのズッキーニやトマトなどの野菜、鶏肉や牛肉を購入して、送料も一定以上であれば無料になり、自分の指定した時間に配達をしてもらったよ。きっと、これだけの品質の食品を一度に買うのは、パリ中のマルシェを探しても無理だと思う。

こうやって生産者と消費者が直接つながれることが広がる結果として、マルシェや個人経営店なんかの中間業者はますます厳しくなっていくだろうね。一定金額以上の購入の場合に送料が無料になるというのも、消費者にとっては無料であって、生産者がそれを負担するわけだけど、中間業者にかかる費用を省けることで十分に補うことができる。

語学や音楽はネットで学べるものか

くみ : 確かに、お店で買うのは基本的に店頭にあるものしか買えないものね。その意味では、今エマニュエルが言ったことは日本のお取り寄せという感覚がすごく近いと思う。たとえ遠隔であっても流通さえしっかりしていれば生鮮食品でも取り寄せられるわけだから、消費者の選択肢は広がるよね。

いいものを作りたいという生産者の商品がこれまでうまく届かなかったのが、お店を通さずに直接消費者と繋がることができれば生産者にとっても新たな活路だしね。

エマニュエル : 冒頭でも話したように、宅配サービスやオンラインショッピングの流行はもちろん食品だけに限ったことではない。例えば、ロックダウン中は映画館が閉まっていた影響もあって、ドラマや映画などの動画配信サービスはとても増えたし、書籍のネット購買もすごく広まった。このことでフランスでは町の書店を守るためにアマゾンに送料を義務付ける法を準備しているところだ。そして、語学レッスンなどの授業もオンラインが浸透しつつある。

くみ : ただ、語学教室は発音など細かい部分がきちんと学び取れるかどうか不安なところもある。あとは、フランスの高等音楽学校でも一時期はオンライン授業になって、楽器や歌の授業もすべてオンラインでしていたというのも聞いた。音色など繊細なものがどこまでオンラインで指導・習得できるのか気になるところよね。

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