フランス人の「消費行動」が劇的に変わった事情 生鮮の宅配普及がマルシェに与える影響は?

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エマニュエル : そのほかにも広がったのが、オンライン診療だ。コロナ禍が始まった頃に、フランス政府が患者間同士、患者、医者間での感染を避けるためにオンライン診療を推進して、保険で払戻しができるように決定した。以前は保険がきかなかったために、オンライン診療はほとんど行われてはいなかった。

このオンライン診療の浸透は革命的だった。今では、ほとんどの医者がネットで予約を取るときに、オンラインか対面かを選べるようになっている。オンライン診療の最大の利点は、予約時間に診療所に行っても、時間が押してて混んでいる待合室で長時間待たなければいけないストレスがまったくないこと。自分の番まで家で好きなことをしながら待てるというのは本当に大きな変化だった。

オンライン診療4つのメリット

もちろんオンラインでは判断できないような症状の場合は使えないけれど、次の例なんかはオンライン診療にしたことで時間もストレスも減らすことができる。

1つは、処方箋の更新だ。フランスでは6カ月を超える期間の処方箋は認められていないので、継続的の薬が必要な場合は6カ月ごとに医者に予約を取って新しい処方箋を求めなければならない。これはオンライン診療で済ますことができることがほとんだ。2つ目は、年齢によってどんな検査をしたらいいかなどの予防医療的な相談を医者にしたいとき。

そして3つめは、患者とそのかかりつけ医がなんの病気かをはっきりわかっている場合の診察の場合がある。例えば、僕は毎冬ほぼかならず気管支炎にかかるのだけれど、鼻づまり、咳、発熱と毎年同じ症状が出る。そして医者に予約を取って、医者はどんな咳かをみて、血圧を測って、毎年同じ薬を出してくれる。こういった場合は、オンライン診療で済ますことができる。

さらにもう1つは、早い治療を必要とする症状の診察だ。ものもらいができた場合なんかは、できたその日のうちに薬をつけないと症状が長引くので、すぐに医者に予約をとらないとならない。

しかし、パリのような大都市の場合、市内の眼科の予約はほとんど半年先まで埋まっていて、キャンセル待ちの空きの予約を探すのはとても時間がかかる。こんな場合は、オンライン診療で、フランス全国の空きがある眼科を探して予約を取ることができるので、問題なく処方箋を出してもらうことができる。オンラインサービスが拡大することで不利益を被る人もいるかもしれないが、少なくともオンライン診療に関しては、患者の面から言うとたくさんのメリットがあると思うよ。

佐々木 くみ 執筆家、イラストレーター

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ささき くみ / Kumi Sasaki

東京生まれの30代。フランス在住10年を超す。2017年10月に、エマニュエル・アルノーと共著で自らの体験をつづった『Tchikan(痴漢)』をフランスで出版。イラストも手掛けた。

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エマニュエル・アルノー 小説家

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Emmanuel Arnaud

1979年生まれ、パリ出身。2006年より児童文学、小説、エッセーをフランスにて出版。2017年にThierry Marchaisseより佐々木くみとの共著『Tchikan』を出版。2000年代に数年にわたり日本での滞在、および勤務経験を持つ。個人のサイトはこちら

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