名古屋「海老せんべいの坂角」が仕掛ける次の一手 「海老の殻」を再利用したカレーパンやプリン
愛知県の三河湾や伊勢湾は、全国有数の海老の漁場。ひと昔前に比べて漁獲量は減っているものの、県魚であるクルマエビをはじめ、アカザエビやアカシャエビなど、さまざまな種類の海老が獲れる。
海老を使った名古屋名物といえば、海老フライともう一つ。明治時代半ばに三河湾や伊勢湾で豊富に獲れたアカシャエビを主原料として作られた、海老せんべいも忘れてはならない。現在も全国有数の生産量を誇り、地元ではお土産物として重宝されている。
若年層に坂角総本舖をPRしたい
県内には、大小さまざまな海老せんべいのメーカーがあり、中でも1889年創業の「坂角総本舖」(以下、坂角)の海老せんべい、「ゆかり」は、1966年発売のロングセラー商品であり、坂角の代名詞でもある。
愛知県在住の筆者も「ゆかり」は馴染みがあり、金色に輝く名古屋地区限定販売の「ゆかり黄金缶」を県外の友人や知り合いに何度か贈ったことがある。
そんな坂角が今年5月、名古屋・栄の商業施設「ラシック」1階でグルメの販売イベント「BANKAKU KITCHEN 海老とカレーとプリン」を開催した。
イベントの名称からもわかるとおり、提供したのはカレーやプリンなど。具体的にどんなものだったのかは後ほど詳しく書くが、坂角が海老せんべい以外の商品を企画、販売するのは、創業130年の歴史の中でも初めてのことだ。
「『ゆかり』をはじめとする弊社の商品は、主に百貨店での販売が中心で、50代以上の方がコアな購買層になります。10年ほど前から、もっと若年層に向けてPRしなければならないという危機感を抱いていました。2年前、創業130周年を迎えたのを機に、このイベントを企画しました」と話すのは、営業企画課の伊藤真広さんだ。
海老せんべい以外の、海老を使ったフードメニュー。それも、若年層から支持されるものを作らねばならない。そこで着目したのは、海老カツだった。
「名古屋めし」の一つとして数えられる海老フライは、名店とよばれる店が名古屋市内にはある。しかし、海老カツとなると聞いたことがない。それどころか、美味しい海老カツをあまり食べたことがない。
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