火星で発見された「小さな石」が世界を沸かせる訳 火星に生物が存在していた可能性は?

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そして、海や川があったということは、生命が誕生していた可能性もあるのです。火星では、まだ生命が発見されていませんが、過去の火星には生命が存在していたかもしれません。現在の火星探査では、微生物そのものを発見するための探査もおこなわれていますが、過去の微生物が残した痕跡も探しています。その痕跡が見つかるだけでも、地球以外の天体に生命がいた証拠になるので、宇宙生命科学にとって大発見となるのです。

火星のヒドゥンバレーと呼ばれる谷の露頭。かつては水があったと考えられ、川の堆積物が残されている(画像:NASA/JPL-Caltech/MSSS、2014年撮影)

本当に水の豊かな青い星だったのか?

火星が温暖湿潤の気候だったのは、誕生から3億年ほどの間であったと考えられています。それより時間が経つと、火星の大気は急速に失われ、現在のような荒涼とした環境になったといいます。このような環境で生命が暮らしていけるのでしょうか。

生命が存在するためには、「有機物、液体の水、エネルギー」の3つの要素が必要だといわれています。実は、これまでの探査から、火星の地下には氷や水が存在することがわかってきました。

例えば、2007年に打ち上げられ、2008年に火星の大地に降り立ったアメリカの着陸機マーズ・フェニックス・ランダーは、北極地方の地面に深さ7~8cmほどの溝を掘り、白い物体が存在することを発見しました。この物体は、発見から4日後には消えてしまったので、氷や霜であると考えられています。その後、フェニックスがこの土壌を加熱したところ、水蒸気が発生したことから、白い物体は氷や霜である可能性が高まりました。

フェニックスが記録した、2008年6月15日(左図)と19日(右図)の画像。左図で溝の中の左下にあった白い塊(右上に拡大)が4日間でなくなっている(画像:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/Texas A&M University)

また、2005年に打ち上げられ、2006年に観測を始めたアメリカの周回機マーズ・リコネッサンス・オービターは、夏に現れて秋になると消えていく、謎の縞模様を発見しました。この縞模様は、夏になると繰り返し現れます。そのため、「RSL」(Recurring Slope Lineae:繰り返し現れる斜面の筋模様)と呼ばれました。

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