火星で発見された「小さな石」が世界を沸かせる訳 火星に生物が存在していた可能性は?

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火星に生命が誕生していた可能性が……?(写真:Merlin74/PIXTA)
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人類は、半世紀以上にわたり、巨額の予算をかけて、火星にたくさんの探査機を送りこんできました。そして2021年9月、アメリカの「パーサヴィアランス」が火星地表の岩石サンプルを採取した、というニュースが世界をかけめぐったのです。
なぜ、手のひらに乗るぐらい小さな「石」が注目を集め、その獲得が歴史的偉業とされるのでしょう? それは、地球以外でいまだ見つかっていない「生命」の痕跡を秘めている可能性があるからです。
生き物がいるかもしれない星の図鑑』を著した荒舩良孝氏が、火星と生命をめぐる最新事情をご案内します。

火星人はいないが、微生物は存在する?

太陽系の第四惑星、火星。地球のすぐ外側に位置する惑星であり、よく観測されている天体の1つです。既に、アメリカを中心として、旧ソ連、ヨーロッパ、インド、中国などの国や地域が火星に探査機を送ってきました。

これらの探査によって、火星は過去、地球のように温暖湿潤で、液体の水が豊富な惑星だったかもしれないということが明らかになってきています。現在の火星は、赤く乾いた大地が広がる惑星で、生命の存在はほぼ感じられません。ときおり吹きあれる砂塵嵐は、生命に対して過酷な環境であることをさらに強く印象づけます。

しかも、火星表面にはほぼ大気がなく、表面はほとんどの場所で0℃以下です。年間を通じて最高気温は20℃程度、最低気温はマイナス140℃以下となり、年間の平均気温はマイナス40℃に届きません。このような惑星が、過去に温暖湿潤だったなんて、にわかには信じられない話かもしれません。

水と大気が多く存在していた頃の火星(左)と今の荒涼とした火星(右)のイメージ(画像:NASA's Goddard Space Flight Center)

しかし、火星の表面を調べてみると、海や川がないとつくられるはずのない堆積岩が存在すること、液体の水が存在することでできる鉱物などが発見されました。これらの発見は、過去の火星の表面には、地球と同じように、海や川といった液体の水が存在していたことを示しています。

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