「大学に行く意義」を問う子に親は何を言うべきか 人生の武器を得るための期間なら無駄じゃない

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だからといって、大学へ行くことがまったくもって無駄かというと、そんなことはありません。冒頭で申し上げたとおり、時間をどう使うかによっては価値にもなりうるのです。

在学中の4年間をさまざまな分野の勉強や研究に費やしたり、アルバイトやインターンなどに積極的に参加したりすることで、自分が何に興味を持ち、何に楽しさを感じるのかを知ることができれば、その後の人生において大きな武器となるはずです。

就職活動で始めるのは遅い

そういった行為を通じて、職業や生き方という面で自分にとってのリアルな選択肢を探すことは、非常に有益でしょう。就職活動の段階でこうしたことを始める人もいますが、それでは遅いのです。大学での勉強や生活と、その後の人生の選択肢を考える行為を切り離して考えてはいけないのです。

そう考えると、大学に通う時間は人生をスタートするうえでの準備期間ともいえます。当然、その後の人生の選択肢と密接につながっているべきなのです。

幅広い分野での勉強や経験を通じて、自分自身を知ることで、自分にとってのリアルな選択肢が考えられるようになります。また、さまざまな分野での勉強や経験をすることで、選択肢そのものを広げることも可能でしょう。

極論をいうと、大学に入る前に今後の人生においてやりたいことが明確であれば、大学に行かずにそのゴールに向かって早く走り出せば良いのです。反対に、まだ何をしたいかがわからないという場合は、大学に行って、その期間を人生において歩むべき方向性を探る旅とすれば良いのです。

Sさんのお子さんはまだ将来、歩みたい方向性が定まっていないということですから、それを探るために、さまざまな分野の勉強ができ、また、さまざまな経験ができる大学生としての身分を経て、徐々に明確化していくのが良いのではないでしょうか。

4年間でできるだけ多くの興味を持ち、できるだけ多くの経験を積むべきです。始めたことが途中で嫌になったり、興味を失ったりしたら、いくらでもやり直しができます。

繰り返しますが、ただ単に大学に行けば人生切り開けるわけではありません。その期間に自分自身の可能性を探し、可能性に気がつけるような時間の過ごし方が大切なのです。

そのための期間と位置づけて、自分探しの4年間として捉えると良いのではと思います。Sさんがそのような考え方で、うまくお子さんの将来の可能性を引き出す手助けをされるであろうことを、応援しております。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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