家は「中古」がいい!住宅を蘇らせる再生請負人 空き家もリフォームすればお得な物件になる?

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確かに、都心のマンションは2年ほど前から、新築よりも中古が増えてきている。一方、戸建ては、リフォーム済みで供給される中古が多くはない。良い物件さえ供給できれば、新築から中古へという意識の流れに追いつくのではないかと思う。

――新築の価格が上がりすぎたのも要因ではないですか。価格が下がれば再び新築優位に戻るのでは。

その要因は確かにある。年収がそれなりにあって、月々あと1万~2万円を払えば新築が買えるとなれば、当然、新築に戻るだろう。特に都心部は景気変動など、さまざまな理由で地価が変動し、ボラティリティ(流動性)が高い。だから都心は価格差で中古が売れたりする。価格が下がれば、都心では新築回帰もありうる。

一方、われわれが主戦場とする地方では、過去40年間、バブル期も含め地価にほとんど変化はなく、新築回帰は起きにくいとみている。さらに価格設定には非常に気を遣っている。今の賃貸家賃と同じくらいの支払いで、中古の良い物件が買えるという価格設定は、非常に重要だ。

――3大都市圏以外で7割を仕入れていますね。なぜ地方にそれだけ強いのですか。

もともと前身のやすらぎは1998年の民事執行法改正に伴い、競売物件を落札し、リフォーム後に販売する事業に乗り出した。ネットも整備されていない当時は裁判所の近くに店舗を構えることでいち早く競売物件の情報を入手し、良い物件を仕入れることができた。そして全国津々浦々、地方裁判所の近くに出店していった、という経緯がある。

その後、競売物件から買い取りに転身、失敗などを重ねながら、ノウハウを積み上げると同時に、全国の工務店とのネットワークを構築してきた。

戸建ての買い取り再販は、土地と建物のうち、建物をリフォームして付加価値を付ける。つまり、土地の価格が占める割合が小さいほうが、付加価値を付けやすい。とはいえ、競合他社が地方物件に参入できるかといえば、いまから全国隅ずみまで店舗網を構えるのはコストに見合わない。人の採用も困難だろう。

クレーム発生をいかにコントロールするか

――中古の買い取り再販事業を続けていく中で、いちばん力を入れている施策は何ですか。

継続していることは、クレームの発生をいかにコントロールしていくか、高い品質のものを顧客に届けるかだ。住宅業界は新築でさえ、”クレーム産業”といわれるほど、クレームが多い。ましてや古い家をリフォームすると、かなりの確率でクレームが発生する。そこをいかにきちんと調査し、可能なかぎり不具合が起きないようにするか、そこに注意を払っている。

そのため、仕入れから販売まで、一貫して1人が責任を持つことも徹底している。新築と違い、中古戸建ては、100戸あったら100様のリスクを抱えている。万が一、クレームが発生した場合は、担当者が1次受けをする。すべて自分が責任を持つので、仕入れ前の調査も徹底し、仕入れ後のリフォームもていねいに行うようになる。

――しかし、一貫体制だと、1人が担当できる量にも限りが出てきます。持続的な成長が厳しくなってきませんか。

そこは今後の課題。今後成長を持続するためには、改善していかなければならない部分だ。分業したほうが目先の生産性は飛躍的に上がるだろう。

ただし、分業体制にして、クレームが発生したら担当部署に回すようになると、どこかで緩みが出てしまう。どんな仕組みを作ろうが、自分は仕入れだけだと思ったら、多少の瑕疵には目をつぶり、目標に向かって仕入れを行うだろう。そのような瑕疵物件は、仕入れたときにすぐに問題は出ないが、半年先や下手をすると1年後、とんでもない事態に陥る。多少効率は落ちたとしても、一貫体制は維持しなければならないものと考えている。

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