家は「中古」がいい!住宅を蘇らせる再生請負人 空き家もリフォームすればお得な物件になる?

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――いまは着実に人員も増え、利益の2桁成長も維持していますね。

いまは空き家もいっぱいあって、需要も旺盛だから、20~30%の成長も可能でしょう、との声もよく聞かれる。確かに売り物はいくらでもあるので、ちょっと目をつむって、この程度の仕上がりでいいという売り方をすれば、2年くらいは相当な高成長ができる。

しかし、そんな家を買ってくださったお客さまは、ハッピーになれるのか? お客さまがハッピーでなければ、それはクレームとして表れる。そうなると、お客さまだけでなく、従業員も不幸になる。

つまり、今の体制で高品質を維持するためには、10%台の成長に抑えることが重要なのだ。住宅市場は非常に大きく、われわれのシェアは10%にも満たない。伸ばすことはそれほど難しくない。むしろ伸びすぎないよう、変なクオリティのものが出ないように、抑制することが重要だと思う。

だが、どこかでそれをブレークスルーして、10%以上に至る道を探っていかなければならないとは思っている。

――その次のステージはいつごろになりそうですか。

今2022年3月期が現在の中期経営計画の最終年度だが、次期の中計が終わるまでは今の体制でやれると思っている。その次を考えると、いまから手を打たなければならない。すでに社内的にはさまざまなプロジェクトを立ち上げ、品質を落とさずにどのように成長を維持できるのか、現場を巻き込んで、一所懸命検討をしているところだ。

もっとも、大上段に構えた、大それたことをやっているわけではなく、ちょっとした改善を繰り返しているだけだ。毎日、働いている人間には感じないほどの改善を、日々続けている。日々の小さな積み重ねが、大きな変化につながっているのだ。

再度選挙には出ない。ビジネスで解決する

――若い頃は政治家を目指していたそうですね。政界への再挑戦は考えていますか?

再度、選挙に出ることはない。政治もビジネスも、究極的に目指しているのは、世の中の課題を解決することだと思う。政治は法律の改正によるアプローチなので、さまざまな利害が絡んできて、実現へのハードルはかなり高い。たとえば、日本は新築を作りすぎだからと言って、新築に重税を課し、中古を流通させようとしたら大問題になる。

一方、ビジネスであれば、カチタスで中古の良い住宅を供給し続け、それが世の中に認知されて広まっていけば、気が付いたときには新築を買うより、中古のリフォーム済み住宅を買うのが普通、という世界観を作ることもできる。

いろんな調整をしながら進む政治の世界より、こういうターゲット層にこの価値を届けたいと課題に取り組み、いつの間にかスタンダードになっていくアプローチのほうが望ましいと思っている。

週刊東洋経済10月16日号(10月11日発売)の特集は「実家のしまい方」です
筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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