実家が迷惑施設化「7戸に1戸空き家」日本の大問題 草木は伸び放題、害虫が発生、建物も老朽化

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空き家になった実家はどう処分するのがいいのでしょうか(デザイン:熊谷直美)
「両親が2人同時に認知症になり、実家を片付けた。段ボールの中からはネズミの死体。10年以上前のお歳暮の缶詰が出てきて、中身を捨てるときは地獄だった。自分はダニアレルギーだったので、物置きを処分するときも大変だった」
まだ30代後半なのに実家の片付けをすることになった中野五郎さん(仮名)はそう嘆く。
物を捨てられない親世代と、物を持つことにこだわらない子世代。親子間で対立する価値観の違いが実家を舞台に繰り広げられる。そして、親が要介護や認知症になって、老人ホームに移ったり、親の死亡で子が相続したものの、その後に誰も住んでいなかったりする場合、実家が空き家になるケースは多い。
『週刊東洋経済』10月11日(月)発売号では「実家のしまい方」を特集。実家の処分で親子がもめる事例や、実家が空き家に至るまでの構造、タワーマンションなど都市が抱える住宅問題などを、広く取り上げている。

2038年には3戸に1戸が空き家か

日本全国で空き家は一貫して増え続けている。5年に1度行われる総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家数は849万戸。30年前の1998年から倍以上も増えた。空き家数を総住宅数で割った空家率は、13.6%に達し、およそ7戸に1戸が空き家となっている計算である。

『週刊東洋経済』10月16日号(10月11日発売)の特集は「実家のしまい方」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

野村総合研究所は2038年の予想として、2つのシナリオを用意している。

ひとつが、2015年に施行された空き家対策特別措置法後と同様に、空き家の取り壊し(除却)が進み、除却率83.2%を前提に置くシナリオ①。もうひとつが、施行前の除却率30.2%を前提に置くシナリオ②である。

①なら2038年の空き家数は1356万戸、②なら2254万戸で、後者では空き家率が31.0%に跳ね上がる。3戸に1戸近くが空き家だ。

空き家=居住者のない住宅、のすべてが問題なわけではない。問題なのは、定義で言うと、空き家のうち、賃貸用や売却用、別荘などの二次的住宅を除く、「その他の住宅」だ。全体の41.1%を占め、「入院などのため長期にわたって不在の住宅」「建て替えのために取り壊す住宅」「区分の判断などが困難な住宅」などが、これにあたる。

建て方別では、共同住宅が56%で、一戸建てが37%。所有者別を見ると、60代以上が78%を占めている。このことから、都市ではマンションやアパート、団地で、郊外では戸建て住宅で、高齢者が空き家の所有者となっていることがわかるだろう。

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