イェール大卒の医師が明かす「脳疲労」の正体 日本人を苦しめる「べき思考」という現代病
私は、「儀式」を持つといいと考えています。たとえば、シャワーを浴びる、服装を着替える、いつもと違う道を通ってみるなど、モードを切り替えられるとよいでしょう。
自然に触れたり、運動したりするのもいいことです。なかでも、サウナは特にいいですね。メンタルヘルスのなかで、特に自律神経は大きなテーマです。
サウナは、熱さと水風呂とで、交感神経と副交感神経を極端にオンオフして切り替えます。いつもと環境も変わり、デトックスにもなる。さらに、自分の体に意識を向けやすく、脳も休まります。
ユニークなのは腹を立てることで不安を吹き飛ばす方法です。腹を立てることは交感神経を優位にし、それが脳によって不安と同じような状態だと錯覚されてしまいます。それにより不安が吹き飛ぶ可能性があるのです。
なにより、構えすぎないことですね。日本人はすぐ方法論に走りがちですし、やり方を知って、きちっとやろうとしてしまいます。深刻になりすぎるわけです。
医療者と話していても、じゃあそれをどんなプログラムでやろうか、ライセンスはどうしようかという話になってしまいます。プログラムに走りすぎると、「マインドフルネスをしなければ」ということを考えすぎてしまい、かえって脳疲労の原因になってしまいます。構えず、継続できることがよいでしょう。
「べき思考」こそが現代にはびこる病
コロナ禍のような状況では、脳の扁桃体という部分が暴走し、感情的にもつねに不安定になり、理性が飛んだ状態になりがちです。マインドフルネスは、理性をつかさどる前頭前野を落ち着かせ、扁桃体の暴走を鎮めることでもあります。
『モンク思考』にも書かれていますが、何千年も前に僧侶によってはじめられた瞑想のやり方が、実際に、脳をうまくチューニングするような働きを起こしているということが科学的にわかってきました。
専門の方は、SNSによって脳疲労が起きるとも言っていますね。私が推測するに、ネットサーフィンをすることによって、脳を使う頻度が増えていますし、心がさまよい、さらに「いいね」を欲しがるという願望につねに依存的になっています。このこと自体が、脳に対して非常にネガティブに作用してしまいます。
実は、マインドフルネスによって鎮まる、その脳のコアな部分こそが、「自分のことをもっとわかって」「自分を好きになって」という感覚に関わる部分なのです。SNSで「いいね」を欲しがっているとき、その人の脳内では、その部分が過剰に酷使されているという研究データもあります。
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