フランス人が考える離婚後の「父親」の重要な役割 子どもとの関係続けていくために必要な事とは

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特にパリの離婚率は50%と非常に高いです。しかし、離婚をするということは、子どもたちと別れるという意味ではありません。離婚はカップルの恋物語の終わりであるかもしれませんが、子どもたちとの関係の終わりではありません。

親権に関して、フランスの法律は明確です。

民法によると、親権は共通の権限であるため、採用された親権の在り方にかかわらず、子どもに対して両親は同等の権利を有します。親権に関しては、平等かどうかはさておき、単独親権と交互親権があります。

子どもが双方を行き来して暮らすことも

フランスでは、今でも母親が主な親権を持ち、父親が週末や休日に子どもたちと過ごす場合がほとんどです。「garde alternée (交互保護制度)」は理想的な制度で、2家庭間が子どもに関するすべてを共有し、子どもも母親と父親の家庭を行き来します。ただしこの場合、両親は別れた後も互いに近くに住み、子どもたちのために良質なコミュニケーションが取れる状態でなくてはなりません。

フランス人ジャーナリストのマルコは子どもたちが幼い頃に離婚しましたが、交互保護制度を採用することで、彼と娘たちは1週間ごとに父親と母親のマンションを行き来していたと言います。彼女たちは2つの場所で両親と人生を共有しました。これが彼女たちにとって最良の策になって欲しいと、娘たちが決まった日でなくても彼の家を訪ねられるようにしたそうです。

マルコは「papa poule(めんどりパパ=愛情深く/保護意識の強い父親)」で、娘たちの要求にはつねに応じてきたと言います。彼は娘たちととても強い関係を築いているほか、音楽など娘たちと共通の趣味もたくさん持っています。マルコは、離婚したとしても、娘たちと良好な関係を続けられるという好例です。カップル間の愛は終わりを迎えることがありますが、親子の絆が終わることはありません。

フランスでは離婚した親が新たにパートナーを得るなど「famille recomposée(複合家族)」が増えていますが、その根底にあるべきは、子どもの幸せと個人の幸せです。

マチュー(仮名)もそんな複合家族を築いている1人です。彼は従来の結婚をして2人の子どもをもうけましたが離婚し、今では別の2人の息子の母親であるフランシーヌ(仮名)と暮らしています。

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