多くの少年硬式野球では、指導者のために食事を用意するのは親の役割になっている。ある母親は前任者から「朝はサンドイッチ、監督は野菜が嫌いなので具はハムと卵だけ、食べやすいように一口サイズに切る。コーヒーはアメリカンのブラック。1時間に1回新しいのを淹れる」と申し送りをされ、馬鹿馬鹿しくなって子どもをやめさせたと話した。
中体連に属する少年軟式野球や、小学生の学童野球チームなども状況は似たり寄ったりだ。硬式野球に比べて規模が小さいチームが多いため、施設や用具も充実していない。こうしたチームでは、選手の親が指導者になるのが通例だ。もちろんボランティアだ。
子どもが卒団すると親も指導者をやめることが多いが、中には残って指導を続ける人もいる。もともと指導者の成り手が少ない中で、ずっと指導者が固定され、高齢化が進むチームもある。
残念なことに、いまだにグラウンドで煙草を吸いながら指導したり、罵声を浴びせたりする高齢の指導者もいる。「昭和の野球」が続いているのだ。「俺の指導が気に入らなければやめればいいんだ」という指導者に対して、「ボランティア」だからと親は強く言えない状況にある。
専属指導者のいるチームとそうでないチームの差
サッカーの場合、小学生では「少年団」と「サッカースクール、サッカークラブ」の2つの選択肢がある地域が多い。少年団は野球と同様で、有志が指導者になってボランティアでサッカー指導を行っている。これに対してスクールやクラブは専属のコーチが指導に当たる。月謝などの費用は、スクール、クラブのほうがかなり高額だ。
サッカーでは10歳以下の子どもを指導する場合でも「キッズライセンス」が必要だ。だから、少年団でもスクール、クラブでも一定のレベルの指導を受けられるが、当然ながら、専属コーチのほうが実践的で優れた指導をしている。
最近は、サッカー同様、少年野球でも監督やコーチに報酬を支払うチームが出てきた。こうした専属指導者がいるチームは、練習法、指導法が、ボランティアチームとは大きく異なっている。
旧来のチームの場合、ランニングやウォームアップのときには、監督やコーチは、選手にあまり注意を払っていないことが多い。上級生が掛け声をかけてランニング、ウォームアップとルーティンをこなしていくが、指導者はこの間、保護者と話をしていたり、ベンチに座っていたりする。年配の監督は、グラウンドに出ていないこともある。そのアップの方法も、昔自分たちが高校でやらされたメニューのままである場合も多い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら