毒舌?新常識?「日本脱出」のススメ 元アップル・松井博さんの「体験的子育て論」

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――新しいものを過小評価するのは日本に特有ですか。

日本の過去の成功体験がそうさせているのかもしれません。でも、これから重要なのはモノ作りじゃありません。そうじゃなくてサービスだったり、プラットフォーム構築だったりするのに、この辺りの変化を完全にはずしてしまったように思います。

――逆に、日本人だけができる良さはありますか。

あまりロジカルでない、情感に訴えるものは強みであるような気がします。たとえば、俳句、短歌的な良さ、それから料理、アニメなんかは日本の圧倒的な強みですよね。あと最近思うのは、日本人ってフェチっぷりは強みですよね。とにかく物事を徹底的に突き詰めて細分化するんです。

たとえばアダルトビデオとか、工場フェチとか、武道の流派とか、細かいところをどんどん突き詰めてひたすら細分化し、カテゴライズしていく。こういうのは日本でしか産まれないと思います。世界を見渡せばこういったニッチな分野にも共感する人がいるので、そこを見つけて行くことで、なんらかのきっかけになるかもしれません。ただ、それをうまくマネタイズするにはどうすればいいのかよくわかりませんけど。なかなか難しいかもしれませんが。

フェチが喜ぶことを追求するのが得意?

――アップルと逆ですね。

そう。アップルが最大公倍数を追求しているとすると、日本人は極一部のフェチが喜ぶことを追求するのが得意な気がします。ニッチな部分を採算なんか度外視して徹底的にやるじゃないですか。たとえば宮大工なんて、高温多湿な国で千年持つ木造建築物を造る。日本人の突き詰める力はホントにすごいです。米国で育った日本人にはそういう強みを感じないので、やはりこれは日本の教育の賜物なのだと思います。

――これから海外に住んでみたい方に何かメッセージは?

海外に住んでみると、日本では考えられないようなことに遭遇したりして何かとしんどい部分もあります。でも、新しい視点が得られること、あるいは、日本のよいところ、悪いところなどがハッキリ見えるなど、あるいはなんとなく楽観的になれるなど、得られることは大変大きいです。

あんまり深刻に考えず、語学留学からスタートしてみるのもいいかもしれません。人生一回ですから、あんまり考えすぎずに、行動を起こしてみたらいかがでしょうか。

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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