毒舌?新常識?「日本脱出」のススメ

元アップル・松井博さんの「体験的子育て論」

――日本のカルチャーって?

必ずしもみんなでやる必然のないことを、みんなで一緒に遅くまでがんばるとか耐えるとか、ですね。定時に帰りにくかったりね。意味ないじゃないか、と思って苦しかったです。

――日本人が海外に住むときの心得はありますか。

親自身が世界を広げることです。米国にいても、日本語だけで日本人社会としか付き合っていない人がたくさんいます。すると決まった人ばかりの狭い社会なので、息が苦しくなる。日本人同士って、どうしてもお互い比較しますしね。ですから、移住したら、まず、できるだけ最初は日本人社会から離れ、一人で行動することを強く勧めます。

――密室にならないようにする?

そうです。今って子育てに手本がない、苦しい時代だと思うんです。そんな中で狭い日本人社会だけにいると、どうしても親同士で子どもを比較して一喜一憂するようになってしまう。親も英語が苦手でなかなか外に出れず、軋轢があっても狭い社会に居続けるしかない。たとえば、習い事なんかでも誰かほかの日本人とツルんで入る。すると、親子共々、まったく逃げ場がないんです。

世界は3種類の人々に分かれていく

――企業に入るうえで、海外で教育を受けることのメリットは?

僕は今後の世界は3種類の人々に別れて行くように思うんです。ひとつは全く新しいビジネスやコンテンツを生み出せる人です。こういう人はせいぜい人口の1パーセントくらいでしょう。もうひとつは、ビジネスをまわす仕組みを作れる人。たぶん人口の10~20パーセントくらいだと思います。そして、その他大勢。しっかり飯が食えるのは前者2種類だけです。その他大勢は安価で使われ、ひたすら給与が下がっていくだろうと思います。でもビジネスを興したり、仕組みを作ったりする能力、日本で教育を受けると身につけにくいように思うんです。

――なぜでしょう。

失敗を恐れるカルチャーもそうでしょうし、人と違ったことをすると白い目で見られたり、お手並み拝見とみんなに傍観されたりするのも原因かもしれません。イノベーションて、10人が10通りで試すよりも、1万人が1万通りのやり方でトライしたほうがヒット率が格段に上がると思うんです。でも日本の学校では、とにかく空気を読んで、目立ちすぎない、先生に目を付けられないといったことを学習してしまうので、新しいことを生み出す目が摘まれてしまう気がするんです。

また、楽することを忌み嫌うカルチャーが、仕組みづくりを阻害している気もします。より少ない人的資源で、なるべく楽にビジネスが回るほうがいいのに、そうすると怠けようとしていると思われてしまうんですよね。みんなでがんばることに重きを置きすぎている気がします。

それから、日本人は未知のものををちょっと過小評価にし過ぎなのかも知れません。たとえば、デジカメが出て来たときにフィルムカメラを使っている人が散々バカにしていました。iPhoneが出て来た当時もこんなものが日本で売れるはずがないとずいぶんな言われようでした。でも結局は、フィルムカメラもガラケーも駆逐されてしまいました。今後も同様のことは起きると思いますよ。

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