村上春樹を読み「仕事を忘れる時間」を持つ理由 「インテグリティ」を培う「学び直し」の勉強法

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そのとき気をつけたいのは、自分の考え方を否定するような反対の意見を排除しないことです。好きなものだけ読んでいると、反対の意見があることにも気づけません。自分と反対の意見について、「そうではない」と言い切るためにも、幅広く読む必要があります。

その点、インターネットのニュースやSNSを情報収集の主な手段にしている人は注意が必要です。先にも述べたようにネットやSNSでは、自分の好きなものだけを読むことができる。それがいつの間にか自分にとっての世の中のすべてになってしまうのは非常に危険です。

若い人は、「新聞はタブレットでも読めますよ」と言うけれど、私はやはり新聞紙を広げて、全体を照覧するところに意味があると思います。そして連続して同じようなテーマを見ていること。そうすれば、この件に関しては最近論調が変わってきたなということもわかる。私はいまだにノリとハサミで紙の新聞・雑誌のスクラップを続けています。

どういう世の中になるのか、自分の見方を持つ

企業の経営では、多くのことを瞬時に決めなければなりません。たとえば経済が急速に悪化したとします。そんなときも、「最初に取らなければいけない策はこれとこれ」ということが、瞬時に頭で組み立てられるようでなくてはならない。翌日会社に来て、上司から「あれはどうなっている?」と言われ、慌てて調べるようでは遅すぎます。

そのためにいちばん重要なことは、これからどういう世の中になっていくかという大きな流れについて、自分の見方を持つことです。

何が正解かはわからない、先行きもどうなるかわからない世の中です。しかしそんな中でも、一応、自分が理想とする世界を持ち、そのうえで、自分の取るべき行動を決める。それがインテグリティを持った人間の基本動作です。

岸田 雅裕 ラッセル・レイノルズ 日本代表

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きしだ まさひろ / Masahiro Kishida

1961年愛媛県松山市生まれ。東京大学経済学部経営学科卒業。ニューヨーク大学スターンスクールMBA。パルコ、ローランド・ベルガー、ブーズ・アレン・ハミルトン、カーニーなどを経て、2021年より現職。2014年カーニー日本代表に就任してからは、企業戦略、事業戦略、リーダーシップ開発、M&A、トランスフォーメーションの支援を多数行った。2021年からは、ラッセル・レイノルズ日本代表として「日本の経営者の質を高める仕事」に取り組んでいる。著書に『マーケティングマインドのみがき方』『コンサルティングの極意――論理や分析を超える「10の力」』(いずれも東洋経済新報社)などがある。

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