「ホラー映画が好きなんだ」と言う相手にWhy?と聞いた場合、単にホラー映画が好きな理由を尋ねている感じにも、「なんでホラー映画なんて好きなの?」と嫌悪感を示しているようにもなりえます。トーンに気をつけることは大切ですが、普通に尋ねているつもりでも、ネガティブな意味で受け止められる可能性があることは覚えておきましょう。
ふだんの会話に便利なhow come
この説明のあと、タロウさんは「日本語の感じと一緒ですね。『なんで?』って聞かれると、責められてる感じがするのわかります」と感想を言いながら、「でも、責めているのではなく、理由を聞きたいことを誤解なく伝えたいときにはどうすればいいんですか」と聞いてきました。筆者が答えようとすると、何か気づいた様子で「あ、how comeですか?」とタロウさん。
そうなんです。そんなときに便利なのがhow comeです。これはHow comes it that……?やHow does it come that……?(どのようにして~ということになったの?)という昔に使われていた表現が省略されてできたものだと言われています。how comeの語源となったこれらの疑問文を見ると、how comeが「どういった経緯でそういうことになったのか」を尋ねているニュアンスなのだとわかりますね。
Why?と聞かれると、理由を直接的に追求しようとしている感じがしてしまいますが、How come?だと優しい響きで、聞き手もそこまで身構えずに受け止められます。How come?は、カジュアルな表現なので、親しみやすい響きなのもその一因でしょう。反面、フォーマルな場面にはふさわしくない表現なので注意しましょう。
B: How come? (〔へえ、〕どうして〔好きになったの〕?)
「ホラー映画が好きなんだ」と言う相手にもHow come?と聞けば、否定的な感じはなく理由を尋ねることができます。友達や同僚とのカジュアルなやりとりでは、whyのかわりにhow comeを使うといいでしょう。
また、how comeには意外性を表すニュアンスもあります。想定外のことに対して「どうして~なの?」と尋ねるときや自問自答のときなどにも便利ですね。
How come I like him so much? (私、どうしてあの人のこと、こんなに好きなのかしら?)
ただし、先述のようにフォーマルな場面にはふさわしくありませんので、フォーマルな場面でこちらが責めているという誤解をされるのを避けたいときには、極力whyを使わないようにするといいでしょう。もちろん、通常のやりとりの際には、そこまで神経質に「whyは使ってはいけないんだ!」と思う必要はありませんが。そのほか、whyの言い換えとしては、
→ What made you think so? (何がそのように思わせるんですか)
Why didn’t you attend the meeting? (なんで会議に来なかったんですか)
→ What happened? You didn’t attend the meeting. (どうしたんですか。会議に来なかったですね)
Why are you upset? (なんで怒ってるんですか)
→ Is everything OK? You look upset. (怒っているみたいだけど、大丈夫ですか)
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