「倒れるまで無理をする人」が仕事を断れない理由 ストレスフルな現代に必要な「モンク思考」
瞑想は、かつてオウム真理教事件で社会的に叩かれていましたが、今ではWHO(世界保健機関)や日本の厚生労働省も「メンタルヘルスのためにマインドフルネスが必要」という認識を示すようになりました。
その理由は、コロナ禍をはじめとするさまざまな要因によって医療費がかさみすぎてしまい、メンタルヘルスに予算を割けなくなったという台所事情もあるように思います。
精神科医療は、本当に逼迫しています。今日「死にたい」という気持ちを抱えて病院を探しても、2週間先でないと予約が取れないという危機的な事態が実際に起きています。
だから、各自が自分の心と体をケアして、発症予防してくれないと、もう国は面倒みられませんという状態になってしまったというのが現実なのです。
その中で、唯一自分でできるケア法がマインドフルネスでもあり、最近になって急速に注目されてもいるわけですね。
適切な指導者が必要とされている
ただ、気を付けなければならないのは、決して患者さんに丸投げしていいものでもないということです。こういう瞑想をしたほうがいい、あるいは、こんなうつやトラウマを抱えている場合は、逆に瞑想はやらないほうがいいという場合もあります。
ですから、適切に指導できる指導者を、質を担保しながら、早急に育成し、輩出していかなければならないというのが、私たちの危機感でもあります。
そんな中、精神科医にかかわらず、内科や耳鼻科、小児科、婦人科といったほかの診療科の先生方から、患者さんを救うためにマインドフルネスを学びたいというご依頼が増えていることは、将来への明るい希望であると感じています。
私は、マインドフルネスは、精神科医でなければ指導できないものではないと思っています。瞑想に興味があって、患者さんがちょっとでも元気になる手助けをしたいという、心ある医師に教えていただけたらと思い、いろいろな科の先生方に指導させていただいたこともあります。これからいかに医師向けの啓蒙をすすめていくかが、課題でもあります。
精神科医かつ禅僧として活動している私の一大コンセプトは、信仰や文化、その人の育ってきた背景や現在の環境がどうであれ、どのように語れば、ブッダの教えた人生の智恵や真実を、その人が受け取ることのできる形で伝えられるか、ということです。そして、最終的には、それが世界平和に貢献していくだろうと確信しています。
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