ローカル路線バス「乗り継ぎ旅」はなぜ難しいのか 震災10年津波被災地をたどる・塩釜松島石巻編

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ミヤコーバスの石巻免許センター線。石巻市では市役所が製作したバスマップが便利だった(筆者撮影)
この記事の画像を見る(11枚)

福島県から仙台市沿岸地域までは海岸線も比較的単調であったが、日本三景の1つである松島を抱える松島湾沿岸は、変化が多い明媚な風光がたたえられるだけに地形は複雑だ。

この連載の記事一覧はこちら

交通網も地形に合わせて複雑で、東日本大震災10周年を機に東北の太平洋岸をたどるルポも、なかなか前進できなくなる。前回の仙台市近郊編を受け継いで、今回はJR仙石線本塩釜駅前をスタート。石巻まで到達できた。取材日は主に2021年8月24日である。

塩釜市には2種類の市営バス

塩釜市内にも民間のミヤコーバス(宮城交通の子会社)が走っており営業所も市内にあるが、主な路線は内陸部の利府方面などへ向かうものだ。塩釜は著名な漁港で沿岸部は主に水産業を中心とする産業地帯となっており、震災後は防災の意味もあって、その傾向が強まっている。人口約5万人の塩釜市では、2種類の市営バスを運行。鉄道や路線バスを補完している。

塩釜市の「NEWしおナビ100円バス」(筆者撮影)

そのうち、まず「NEWしおナビ100円バス」3ルートのうち、東南部コースに乗る。塩釜港の南側を行くルートで、8時に本塩釜駅神社参道口を出発。伊達政宗の号にちなむ貞山運河の最北端部で島のように区切られた工業地帯を回り、通勤客を降ろしてゆく。

次いで、市南部の丘陵地帯の住宅街では生活道路を縫って走り、反対に通勤客を集める。運転士とは顔見知りが多いらしく、朝の挨拶を交わしている。市街地だから利用客が定着しているのだ。JR仙石線の駅に近い下馬での下車が多く、私も降りる。風景に見覚えがあると思ったら、前回乗った、七ヶ浜町営バス「ぐるりんこ」の坂病院入口と同じ場所だった。

次ページ生活を守る市営汽船
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事