1日3往復、住民の「最後の命綱」離島航路の実情

震災10年の津波被災地をたどる・牡鹿半島編

石巻市中心部にある中央発着所で出航を待つ網地島ライン(筆者撮影)
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津波の被害を受けた沿岸部をたどったとしても、宮城県は2、3回、取材すれば通り抜けられると最初は考えていた。しかし地形の複雑さはもちろん、そこを結ぶ公共交通機関の状況の厳しさ、つまりは運転本数の少なさに阻まれ、3回目でようやく石巻にたどり着いたところ。さらに、この先には大きな牡鹿半島が横たわっている。

2005年に石巻市と合併するまで牡鹿半島の大半が牡鹿町域であったが、最末期の人口は5000人を割っていた。その後、震災があって、続く人口流出も想像できる。それは石巻市の市民バスや航路のダイヤを見ても察せられる。

網地島航路で石巻市の離島へ

宮城県に限らず、ローカル鉄道やローカルバスのダイヤは、朝、主に通学や通院のためにその地域の中心地へ向かい、午後から夕方にかけて戻るのに便利なように組み立てられている。反対に中心地から午前中に、各方面へ向かおうとすると、便がないケースがかなりある。極限まで運転本数を絞ると、そうなりがちだ。牡鹿半島でもそのようなダイヤになっており、まず時刻表の上で実情を思い知らされた。

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今回の取材日は9月14〜15日。事前に四苦八苦してスケジュールを組んだが、結局1泊2日コースになってしまった。スタートは田代島、網地島、さらには牡鹿半島の中心地鮎川を結ぶ航路、網地島ラインだ。

田代島が「ネコの島」として人気が出て観光客の利用もある航路だが、石巻発着便は3往復。両島に寄って、鮎川まで行こうとすると1日掛かりになる。ただそれよりも、たっぷり島で時間を使って、最終的に16時50分に鮎川に着いたとしても、そこから石巻へ戻る手段が、船、バスともにない。夕方以降に中心地へ向かう流れは皆無なのである。

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