空軍パイロット「アフガン超緊迫脱出」の一部始終 「タリバンに見つかったら殺される」変装して実行
「タリバンの戦闘員に見えるように変装をして、おびえる妻とともに夜が明ける前の早朝に、パソコンと重要な資料などだけを鞄に入れてタクシーに乗り込みました」
こう打ち明けるのは、アフガニスタン空軍のパイロットであるサイードさん(仮名)だ。8月16日深夜、メッセージアプリWhatsAppでの通話取材に応じた彼は、緊迫した状況を詳細に語った。
「タリバンが首都カブールを制圧したあの日も職場にいました。外へ出ると空港に数百人、数千人もの市民らが押し寄せ、無我夢中でアフガニスタンを脱出しようとして、カオスのような状況になっていました。150人が定員の輸送機に、実に500人以上ものアフガニスタン人がタラップを次々によじ登って乗り込む様子を目の当たりにして、とても危険だと感じました」
アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンにカブールが制圧された8月15日夜、空港で起きたこの大混乱の様子は、ソーシャルメディアでも拡散され大きく報じられた。アメリカ空軍の大型輸送機C17型機の内部ですし詰めになって座り込むアフガニスタン人らをとらえた写真も、軍事防衛ニュース専門サイトのディフェンス・ワン(Defense One)が入手して公開し、その脱出劇の様子が徐々に明らかになっている。
複数の輸送機がアフガニスタン人を乗せて離陸
このC17型機以外にも複数の輸送機が同程度規模のアフガニスタン人を乗せて離陸したと伝えられており、サイードさんが目撃した輸送機もそのうちの1つだと考えられる。
サイードさんはその夜、急いで妻が待つカブール市内の自宅へと戻り、翌日夜が明ける前の早朝に自宅を出て、タクシーで空港のゲートに向かったという。
「空港に向かう道中では何箇所も銃を抱えたタリバンの戦闘員らに検問されました。本当に緊張する恐ろしいものでした。私がアフガン空軍のパイロットであることなどがばれたら間違いなく殺されます。妻は助手席でがたがたと震えていました。私たちは、身元が絶対に判明しないよう、タリバン兵のような民族衣装を身にまとって変装していたので、幸い身元確認のIDや書類などの提示を求められることはなく空港にたどり着くことができました。しかし、空港周辺にはすでに多くのタリバン兵がうろついており、監視の目を光らせている状態でした」
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