アフガンから米軍撤退、「対テロ20年戦争」の帰結

元NHK特派員が経験した憎しみと戦いの20年

タリバンがアフガニスタンの首都を制圧。空港に大勢の人々が押し寄せた。写真はビデオ画像(写真:ロイター/アフロ)

アフガニスタンは忘れられやすい国だ。東京オリンピックの最中、冷戦下の1980年にモスクワ五輪をボイコットした原因がアフガニスタンであったことを思い起こす人は少なかっただろう。

アフガニスタンは資源も利権も少なく、他の地域と比べて大国の関心も薄い。大国の関与がなくなると力の空白が生まれる。そこに、行き場を失った「国家ならざるもの」はウイルスが繁殖するように入り込んでくる。

そんなアフガニスタンから縁を切りたかったのか。同時多発テロ20年となる2021年9月を前にアメリカ軍が撤退し、イスラム原理主義組織のタリバンがアフガニスタンを再び制圧した。多くの犠牲を出した対テロ戦は迷走の末に元の木阿弥となった。

米軍のアフガン攻撃の背景にあったもの

2001年9月11日、NHKの特派員としてニューデリーに駐在していた筆者の携帯に知人から電話がかかってきた。「広瀬さん、すぐにテレビを見てください。航空機がビルに突っ込んでます」。インドには航空機が突っ込むような高層ビルはないと高をくくっていたが、CNNが映し出す映像を見て思った。「ついに来たか」。

筆者は1998年にインドに赴任し、クリントン大統領(当時)によるアフガニスタンへの巡航ミサイルによる攻撃を取材していた。アメリカがなぜアフガニスタンにミサイルを撃ち込むのか。その時は簡単に、「国際テロ組織・アルカイダの拠点を攻撃するため」と説明していたが、このミサイル攻撃の背景には中東情勢があった。

1990年の湾岸戦争に勝利したイラクを脅威に感じたサウジアラビアは、アメリカに国防をゆだねることを決断。外国から異教徒を招き入れることに反発した財閥ビンラディン家の6男のオサマは国籍を剥奪され、一族からも追放された。オサマは身を寄せていたスーダンからも追い出され、たどり着いたのがアフガニスタンだった。

1996年8月、オサマはアメリカとの戦争を宣言し、その2年後にケニアとタンザニアのアメリカ大使館を爆破した。クリントン政権によるミサイル攻撃は、その報復だったのだ。

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