ソリオ対ルーミー、売れ筋トールワゴン徹底比較 販売台数2位と14位、トヨタの販売力が際立つ

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ルーミーGグレードのフロントフェイス(写真:トヨタ自動車)

ちなみにルーミーを購入検討している知人の話では、トヨタ某販売店で1.0Lガソリン車の中級グレードG・2WD車の見積もりを取ったところ、はじめて来店したその日に、「いきなり25万円近く値引きした」購入額を提示されたという。Gの2WDは車体価格(税込)で174万3500円。知人は、フロアマットやディスプレイオーディオ、ETCユニットなどの一般的なオプションを選び、税金などの諸費用を含めた購入総額が230万円程度になったが、前述の値引き額により205万円ほどに下がったという。近年は、軽自動車も価格が上がり、オプションなどを含めた購入総額が200万円を超える時代だ。知人の例では、ルーミーは軽自動車とほぼ同じ価格で購入できることになる。

あくまで筆者の推測だが、ルーミーの現行モデルは、マイナーチェンジこそあったものの、基本的には発売から5年以上経っており、しかも今なお売れているモデルだ。開発や生産もダイハツが担当したOEM車であるため、コスト面から考えてもトヨタとしては十分に「元が取れている」モデルだと考えられる。そのため、大きな値引き額も可能なのかもしれない。最近は、発売したばかりの新型車は、ほとんど値引きはないという話も聞く一方、長年販売し、継続的に売れているモデルであれば十分にありうる。

商品力が互角、価格勝負でルーミーが売れている?

ソリオの荷室寸法(写真:スズキ)

もちろん、値引き額については、店舗や担当者によっても変わるであろうし、選んだグレードが売れ筋かどうかも関係してくるだろう。だが、もし軽自動車とほぼ同じ価格で購入でき、しかも車内は軽自動車より広いとなれば、ルーミーを選ぶユーザーが多いのもうなずける。

ソリオの見積もりと比較したわけではないため一概にはいえないが、トヨタが持つ強い販売力の一面を象徴する事例ではあるだろう。「いい商品だけでは売れない」のは、自動車業界だけでなく、他ジャンルでも多くのメーカーや販売担当者が感じるジレンマだ。商品力が互角でも、売る力などその他のファクターも含めた総合力で勝る、それがルーミーの持つもっとも大きなアドバンテージなのかもしれない。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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