53歳でスタートした、「子どもが欲しい」婚活
吉田(当時53歳、仮名)が、私の相談所を訪ねてきたのは、昨年7月初旬のことだった。面談にきて、彼は開口一番に言った。
「結婚をして、子どもを授かりたいんです」
(ああ、彼もか)と、私は心の中で小さなため息をついた。40代、50代の初婚、または再婚でも子どものいない男性のほとんどが、「子どもが欲しい」と言う。吉田は、初婚だった。
50代の結婚率をご存じだろうか。国立社会保障・人口問題研究所2019 年のデータによると、50歳から54歳までの結婚率は、男性が0.76%、女性が0.32%、55歳から59歳までの結婚率は、男性が0.33%、女性が0.11%と、極めて低いのだ。
結婚率がこれだけ低いのに、そこに「子どもが欲しい」という希望が入ると、結婚する女性の年齢に制限がかり、さらに結婚しづらくなる。婚活においては、50歳を超えた男性が一回り以上下の女性と結婚するのは、至難の業だ。
また、50代で父親になるとすると、子どもが小学生のときに還暦を迎えることになる。人生100年時代と言われているが、どこまで現役で働けるのか。子どもが成人するまでには、莫大なお金がかかるのだ。その金額は、教育にどれだけお金をかけるかでも違ってくるのだが、2000万円とも3000万円とも言われている。
ただ話を聞くと、吉田は経済面においてはまったく心配がなかった。彼は投資の世界でかなりの成功を収めていて、高額な年収と一生暮らすのに困らない資産があった。
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