「若草物語」次女ジョーの苦闘に描かれた深い意味 150年前「男の子になりたい」と願った少女の人生
主人公は「男の子になりたかった」女の子
舞台は、南北戦争(1861~1865年)の頃のアメリカ東海岸。作者が少女時代をすごしたマサチューセッツ州のコンコードと推測されます。
〈私おとなになったなんて考えるだけでぞっとするわ。そしてミス・マーチなんてものになって長いドレスを着て、エゾ菊みたいにつんとすましてるなんてさ。とにかく女の子だっていうのがいけないのよ。私は遊びだって仕事だって態度だって、男の子のようにやりたいのに。男の子でなかったのがくやしくってたまらないわ〉
型破り、ボーイッシュ、中性的、いろいろ表現はありましょう。しかしともあれ、ジョー・マーチがこのように言い放った瞬間に、少女小説の運命は決まったといえます。ジョゼフィンを略したジョーという呼び名自体、男性の名前です。少女小説の歴史は皮肉にも、家庭小説の流儀を蹴飛ばす少女からはじまったのでした。
背が高く、やせて色が浅黒く、長い手足をもてあましているという少年のようなジョー。彼女は職業作家志望です。


















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