「高齢LGBT」を悩ませる、これだけの不安要素

「同性パートナーシップ制度」普及でも残る課題

30年以上、同性パートナーと生活をともにしている伊藤悟さん(記者撮影)

「証明カードを見せたら自分たちの関係性を信用する人が想像以上にいて、驚いた。水戸黄門の印籠みたいにね」

そう笑うのは、2019年に千葉市でパートナーシップ証明制度に基づき、宣誓を行った伊藤悟さん(67)だ。同性パートナーの簗瀬竜太さん(58)とは35年間、ともに支えあって生きてきた。

2人は長年にわたって千葉県船橋市を生活の拠点としてきたが、千葉市で証明制度ができると知り、引っ越しを決めた。2人の関係性を証明するものが必要だと考えたからだ。きっかけは、2011年に簗瀬さんが腹痛で病院に運ばれたときの経験が大きい。

広がるパートナーシップ証明制度

伊藤さんは激痛で症状の説明もままならない簗瀬さんに付き添っていたが、処置室や診察室にも入れず病院の廊下に置き去りにされた。病院のスタッフにパートナーだと告げたものの、「親族ですか?」という問いかけには違うとしか言えなかった。

簗瀬さんが出てきたのはレントゲンやCT検査を行い、尿管結石の診断がついてからのこと。1時間以上の間、伊藤さんは何も知らされることなく、待ち続けるしかなかった。

伊藤さんは、「今思い出してもつらくなるほど、本当に不安だった」と振り返る。簗瀬さんも、「このまま死んだら、(伊藤さんは)自分の死に目には会えないんだろう」と覚悟したという。

同じことが2020年1月にも起こる。今度は伊藤さんが深夜に高熱を出し、千葉市内の救急病院に駆け込んだのだ。しかし、簗瀬さんは終始伊藤さんに付き添い、主治医から病状の説明も受けることができた。一番の心配事であった病院での対応がきちんと行われ、パートナーの宣誓をしてよかったと心から感じられた瞬間だった。

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