ミッツ・マングローブ「個性は努力で育たない」 子どもをおだてるより、もっと大事なこと

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ミッツ・マングローブさんが考える、本当の個性とは?(撮影:梅谷秀司)
知性派タレントとして人気を集め、数多くのバラエティー番組に出演するミッツ・マングローブさん。父親の転勤により、小6から中3までの多感な時期をロンドンで過ごし、帰国後は慶應義塾高校から、慶應義塾大学へ進学。イギリスのウエストミンスター大学への留学経験も持つ。
20代後半からは新宿2丁目でドラァグクイーンとしての活動を開始。歯に衣着せぬ発言が印象的なだけに、自由奔放に生きてきたかのように見えるミッツさんだが、本人は意外にも社会規律を重んじる性格なのだという。
エッセイ本『熱視線』(朝日新聞出版)を刊行したミッツさん。今の社会について感じることや、ミッツさんをつくりあげた家庭環境と教育方針ついて聞いた。

制約からどんどん外れていこう、でいいの?

女装家であり、性的マイノリティーーであるミッツさんは、幼少期に自身のセクシュアリティーに気がついた。多様性の象徴ともされる「LGBT」の当事者だが、昨今の社会の風潮に対して、警鐘を鳴らしている。

「最近、みなさん勘違いしていると思うんです。多様性とか言って、『制約からどんどん外れていこう』という感覚でいる人、たくさんいますよね。私は、制約や枠って、社会として大事だと思うんです。だからこそ法律があるんだし、日本の秩序が保てるんですからね」

ミッツさんがタレントとしてのキャリアを築き上げるきっかけとなったドラァグクイーン業界には、意外にも奥ゆかしさを重んじる文化があるのだという。大和撫子精神で「目立つなんてはしたない」という空気が存在するそうだが、ミッツさんはその制約の中でどう動くか? を考えていたそうだ。

「どんな業界にも、伝統やセオリーがある。私は幼少期からずっとピアノをやってきたんですけど、音楽の理論も一緒です。それぞれの楽器は、出せる音域が決まっているでしょう? 作曲するにしても、出ない音を楽譜に書いたって、芸術性は認められません。出せる音の範囲で、どう美しい音を出すかが大切なんです」

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