ミッツ・マングローブ「個性は努力で育たない」

子どもをおだてるより、もっと大事なこと

ミッツさんは、社会が過度に自由を重んじることで、適切な振る舞い方がわからなくなったり、逆に息苦しくなったりする人が増えてしまう可能性を危惧しているのだという。権利と自由のバランスについて、ミッツさんはこう語る。

「最近みんな、多様性中毒ですよね。制約の中にいられることが、どれだけ幸せかっていうことを感じることができていない。もちろん、個人がそれぞれの意見を主張するのは自由なので、否定はしません。でも、社会人としては、枠組みの内側から考えることが大事だと思います。全員が上を向かなくてもいい。横でも斜めでもいい。枠の中にも、多様性はちゃんとありますから。

会社を辞めて自由になろう、くらいならまだいいんですよ。セクシュアルマイノリティーの世界なんて、もっと大変です。数年前からいろんなメディアがマイノリティーへの理解を深めるために『LGBT』を広めているけど、実情はもっと複雑になっています」

LGBT当事者である私でも、複雑で混乱

ミッツ・マングローブさん(撮影:梅谷秀司)

LGBTとは、「L:レズビアン」「G:ゲイ」「B:バイセクシュアル」「T:トランスジェンダー」を指す。

「最近はさらに『P』とか『Q』とか、新しい定義が登場したんです。Qは「クエスチョニング」といって、自身の性別がまだわからない人。Pは「パンセクシュアル」といって、性別問わず『人』が好きな人を指すそうです」

ミッツ氏は当初、男女どちらの性別も恋愛対象になる「バイセクシュアル」と「パンセクシュアル」の違いがわからず、当事者の友人に質問したのだという。

「『バイセクシュアル』は、人を好きになったり、性的興奮を覚えるときに『今は男が好き』『今は女が好き』と、相手の性別を加味して行動する人を指します。『パンセクシュアル』は『人として好き』を原動力にしている人、なんだそうです。

LGBT当事者である私でも、複雑で混乱しています。多様性を重んじた結果、どんどん枠組みが細分化しているけど、『自分はどこに入るんだろう?』と新たな悩みを持つ人も出てきます。無理にカテゴライズしようとしなくても、大枠の中にいたほうがいいんじゃない? とも思いますね」

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