「ボヘミアン・ラプソディ」監督セクハラの余波 フレディ役マレックのアカデミー賞は確実か
伝説のロックバンド・クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』の勢いが止まらない。
日本での興収はついに100億円を超え、公開から3カ月以上経つ今も、トップ10圏内を維持。アカデミー賞にも作品部門を含む5部門で候補入りしており、同作を応援するために今年は授賞式中継(2月25日予定)を見ようと思っているファンもいることだろう。
そんな人たちに、監督であるブライアン・シンガーに関する先日の報道は、多少なりとも動揺を与えたようだ。海外メディア「The Atlantic」が1月に、彼が過去に行った少年たちへの性的虐待について、詳細な記事を掲載したのである。
1年をかけ、50人以上を取材したとされるその記事には、15歳や17歳、あるいは13歳のときにシンガーから性的虐待を受けたとする男性たちの赤裸々なコメントが含まれている。この直後、LGBT団体「GLAAD」は自身らが主催するメディア・アワードのノミネーションから同作を外した。その報道もまた、このままアカデミー賞でも不利になるのかと、ファンの不安を募らせたようである。
撮影中にクビになっていた監督
だが、大丈夫。この報道のせいで同作のアカデミー賞の受賞になんらかの影響があるとすれば、フレディを演じたラミ・マレックが主演男優部門でやや有利になるくらいだ。作品賞には、なんの影響もない。そもそも、それ以前から同作が作品賞を受賞する可能性は限りなく低かった。だから、今さらネガティブなニュースが出ても、この戦線に異状は生じないのだ。
同作のヒットで監督の名前を認識した人には初耳だったかもしれないが、シンガーのセクハラ疑惑はかなり前から存在してきた。
2014年には、15歳から17歳にかけての時期に彼から被害を受けたとする男性が訴訟を起こしている。また、2017年秋、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ暴露がきっかけで「#MeToo」運動が起きると、ウディ・アレン、ロマン・ポランスキーなど過去に性犯罪がらみで非難されながらも仕事を続けてきた人たちと一緒に、シンガーの件も再浮上。彼の母校である南カリフォルニア大学はすぐに、映画専攻プログラムから彼の名前を外した。
シンガーがまだ撮影中だった同作の監督をクビになり、スタジオ内にかまえていたオフィスごと20世紀フォックスを追い出されたのはぴったり、その頃だ。
クビにした理由をフォックスは正式に語っていないが、感謝祭の連休明けにシンガーが無断欠勤をしたことや、撮影現場で彼が問題行動を取り、そのことにマレックも不満をあらわにしていたことなどが伝えられている。それでも、タイミングがタイミングなだけに、「#MeToo」もまるで無関係ではないのではとの臆測は、ずっと漂ってきた。
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