クイーンの壮大な音宇宙「オペラ座の夜」

ロックを超越した「ボヘミアン・ラプソディ」

1975年ロックフィールド・スタジオでのクイーン。左からフレディ・マーキュリー、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラー、ブライアン・メイ(写真:Shutterstock/アフロ)

今回は、クイーンの最高傑作『オペラ座の夜』をご紹介します。

ちょうど、ブライアン・シンガー監督の話題の映画「ボヘミアン・ラプソディー」が封切られたところです。英国を代表するロックバンド、クイーンのリード・ヴォーカルにして音楽面での実質的リーダーだったフレディ・マーキュリーの半生に焦点を当てた音楽映画です。随所にクィーンの音楽が生まれる瞬間のエピソードも盛りだくさんです。クィーンのファンはもちろん、ロック愛好家にとってもロックの現代史を見る喜びを与えてくれます。

映画のタイトル「ボヘミアン・ラプソディー」は、クイーンの第4弾にして最高傑作アルバム『オペラ座の夜』に収録されているスーパーなヒット曲です。15枚に上るオリジナル・アルバムを発表しているクイーンには、非常に沢山のヒット曲や傑作があります。が、これしかないという1曲を選ぶとすると、やはり「ボヘミアン・ラプソディー」にとどめを刺します。

なぜでしょうか?

それは、この曲には、クイーンのすべてが宿っているからです。

「ボヘミアン・ラプソディ」―構成力の妙

「ボヘミアン・ラプソディー」は、フレディ・マーキュリーの作詞作曲で、音楽家としてのマーキュリーの直感とこだわりが高純度で結晶しています。と、同時に、彼の音楽的アイデアを実際に音にしていく、クイーンのメンバーとプロデューサーをはじめとするスタッフたちのコミットメントが、美しすぎます。気の遠くなるような作業の賜物です。

もちろん、バンドの演奏能力、歌唱力、楽曲の構成力、等々は当然の前提です。歌声を楽器のように扱うクイーンの真骨頂でもあります。また、ロックの常識を軽々と超える音楽的な冒険も敢行してます。

早速、「ボヘミアン・ラプソディー」を聴いてみましょう。音楽は読むものではなく、聴くものですから。

導入部: 冒頭は、アカペラによる男声合唱による導入です。「これは現実なのか幻想なのか」と問うのです。すでに、クラシック風の味付けです。15秒で、ピアノの伴奏が入って来ます。導入の終結は、問に対し、「どうでもいいのさ」と応じます。

次ページ実際に聴いてみましょう
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