気鋭の東大教授「50歳で女性装」を始めた胸の内 多くの困難に直面しても果敢に戦ってきた

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女性装の東大教授として知られる安富歩さんに話を伺いました(写真提供:安冨歩)
われわれは、先の見えない混沌とした現代にあっても、覚悟をもってしっかりと社会と対峙している大人を「カッコいい」とお伝えしてきましたが、そのカッコよさには多様性があって当然とも考えています。
今回お話を伺ったのは女性装の東大教授として知られる安冨歩さん。その優雅なビジュアルのむこうには社会の問題に鋭く切り込む戦士の凛々しさがありました。

50歳にして女性装を始めた異色の東大教授、安冨歩さん。

なぜLEONにと思われる読者もいるかもしれませんが、今回の特集「大人の"カッコいい"を取り戻せ」というテーマでこそ、安冨さんに話を聞いてみたかったのです。

本記事はLEON.JPの提供記事です

それはなぜか? 京都大学卒業後、住友銀行勤務、現在は東京大学東洋文化研究所教授という経歴だけを見れば、順風満帆、エリート街道まっしぐらに歩んで来たように見える安冨さん。

けれどもご自身は、その一見満ち足りた人生にあっても、30代まではいつも「死にたいほど不幸だ」と感じて過ごしていたといいます。

母親の精神的な支配、配偶者のモラハラから解放

子ども時代から安冨さんを精神的に強く支配し、つねに成績優秀ないい子を求めてきた母親。さらに安冨さんの「京大卒・東大教授」という肩書だけを求めた配偶者からの執拗なモラルハラスメント。

そこから抜け出すために離婚を考えたものの、母親が配偶者とつるんで離婚を絶対阻止しようとし、自殺を考えるほど悩み苦しんだ安冨さんは、どうにか離婚できたその経験をもとに、ハラスメントの研究を始め、そのことが安冨さんの学者としての大きなテーマにつながりました。

さらに、徐々に心が解放されていく中で、その頃成功したダイエットのついでに何気なく始まった女性装。そこから50歳にして自らの新しい性自認に至り、以降はつねに女性の姿で、仕事もプライベートも充実した時間を重ねてきたのです。

多くの困難に直面してもつねに自分らしく生き生きと人生を歩むために果敢に戦ってきた安冨さん。そのお話には、先の見えない混沌とした今の時代を生き抜くための多くのヒントがあるのではないか。そう思って、今は長野の牧場で馬と暮らしながら研究生活を送る安冨さんに取材をお願いしたのでした。

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