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実は「五輪特需」で潤うタクシー、その内情と不安 ハイヤー不足で恩恵もさまざまな問題が表面化

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先出のタクシー会社幹部によれば、五輪の組織委員会が管理する五輪マークが入った輸送車も稼働しており、非公表だがタクシー業界からの一時的な出向者も多いという。大会のメディアセンターがある東京ビッグサイト周辺や築地周辺の待機場、都内の各ホテルではこれらの車が散見される。

別のタクシー会社の代表が言う。

「組織委員会から契約金が支払われ、大手のタクシー会社などを中心に出向者が出ています。正確な数字は把握していませんが、みなしハイヤーなども含めた五輪の運送全般に伴う契約額は数十億円といわれています。

社により内容は異なりますが、貸し切りの場合は半日で4万円程度の額が売り上げとして支払われます。中には乗務員の給料を手取り2万円前後に固定している社もありますね。会社側には大きいですが、ドライバーにとっては決しておいしい仕事ではないともいえます」

上述した内容は言うまでもなく五輪用の特別な輸送体制である。

これらの決定をうけて、自交総連は政府と組織委員会に対し、一般車両では仕切り板設置など感染対策も不十分で、換気や消毒も徹底されない恐れがあると指摘している。運転者と乗客を感染の危険にさらすものだとして、「関係者と一般国民を接触させないというバブル方式にも大穴をあける」と猛抗議したのだ。

「五輪関係者を乗せた後は、10分間換気してからなら一般客を乗せていいということになっています。それでも結果的に3000人を超える感染者が出ている状況を考慮すれば、感染対策が十分でない中、タクシーやハイヤーが稼働しているという面は否めない」(大手に所属するドライバー)

五輪関係者の運搬パターンは主に2つ

では、五輪の輸送の実情はどうなっているのだろうか。実際に海外からのメディア関係者を多く乗せるタクシードライバーの話によれば、五輪関係者に対してのタクシー会社の運輸パターンは主に2つだという。

「成田空港から(東京都中央区にある)T-CAT(東京シティエアターミナル)にバスで移動してきた関係者を、タクシーで各ホテルまで送迎するのが一番多いかな。もう1つは、羽田空港からバスで東京ビッグサイトからほど近い「有明防災センター」まで来た方をホテルに送り届ける。現状、この2つが大筋です。

送迎は都内のホテルまでといった近距離のものもあれば、遠方へのロングもある。『試合会場がある福島や新潟、静岡までといった長距離の美味しいお客さんを乗せた』という乗務員もおり、当たり外れが激しいんです。基本的には五輪関係者専用の無線があり、専用のタクシーチケットも用意されています。だから移動距離などを気にせず乗車していく。正直、五輪による恩恵は期待していませんでしたが、単純な売り上げだけをみると、“かなり良い”というのが正直なところです」

タクシーを利用する五輪関係者は、基本的にはメディアやセキュリティーなどの運営側に多いという。だが、時には競技に直接関わる陣営を乗せることもある。大門駅周辺にいたドライバーはこう話した。

「都内のホテルから、試合会場がある幕張メッセといった長距離の利用もありましたよ。明らかに国のマークが入った服を来ているので『プレーヤー?』と聞いたら、「コーチだ」と話していました。ハイヤーが足りないから移動ができず、会場の行き方も分からないとも言っていましたね」

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【関係者の「帰国需要」もこれから見込める】

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