あらゆる体験が、スマホ・タブレットに負けている?
原田:ここ10年の若者の変化として、尾木先生は3つの山場があるとおっしゃっていましたね。学力観の変化、便所飯、それからLINEの会話。
尾木:便所飯、LINE会話は、やっぱり、ネットの影響ですよね。ケータイ、そしてスマホから変わってきた問題。古い世代はネットのことを、「バーチャル、バーチャル」って言うんだけれども、バーチャルじゃなくなってるんですよね。
原田:なるほど。
尾木:今の若い子は、黒電話なんて使ったことある人、少ないでしょ。同じ情報ツールでも、変わっていくわけですよね。で、それが人間関係とか、志向とかいろいろなものまで変え始めているんじゃないか。
原田:特に若いうちはピュアだから、その変化を大人よりもいちばん露骨に受けているかもしれないですね。
尾木:そういえばLINEの練習ができるっておもちゃが出たんですよ。よちよち歩きの1歳半の集団が、LINE上でできちゃう。ちょっと怖いでしょ。大丈夫かい、と。
それで、夕べも僕、2歳の娘と話したんですけど。あ、娘じゃない、娘の子ども(笑)、つまり孫と話したの。そしたら、youtubeなんかで遊んでる。
原田:だんだん、広告会社の社員としては話しにくくなってきてますが(笑)。
尾木:ふふふふ(笑)。でもちょっと心配ですよ。何かが起きちゃうっていう気がして。
原田:私、1歳の娘がいるんですけれども。やっぱり、スマホとタブレットってすごい驚異的だなと、恐怖を感じるところがあって。たとえば絵本も、ちゃんと音声で読んでくれて、めくってくれて、赤ちゃんが押すと反応するんです。それで、親が普通に絵本を読むよりも、赤ちゃんの反応がすごくいいんです。
あるいはこの前、上野動物園に娘を連れて行ったんですけれど、それよりもスマホの中で動物が触ると動いてくれたり、吠えたりっていうほうが、反応がよかったり。スマホ・タブレットに負けちゃってるんですよ。あらゆる体験が。
尾木:やっぱり、発達論で言えば、これは間違いなんですよ。(タブレットだと)ワンパターンでしか動かないし。お母さんの肉声で、膝のぬくもりがあって、胸の鼓動を聞きながら、「このライオンさんかわいい目をしてるね」とか、横道にも入っていかなきゃいけない。
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