スマホ新潮流、ゲームの次は教育アプリだ! フィンランドで広がる"エドテック"の有望度

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フューチャー・コードが手掛ける英語学習アプリ「DibiSchool」は中国やタイなど世界5000万人が視聴するアニメキャラクターと学べる

世界のモバイルゲーム産業のホットスポットとして熱い視線を集めるフィンランド。卵を豚に奪われて怒った鳥が豚を攻撃するゲーム「アングリーバード」が大ヒットしたロビオ・エンターテインメントや、戦略ゲーム「クラッシュ・オブ・クラン」で躍進し、昨年10月にソフトバンクとガンホー・オンライン・エンターテイメントが共同での買収を発表したスーパーセルが世界に名を轟かせる。フィンランドにはこのほかにも200社以上のモバイルゲーム開発会社が息づき、独自の“生態系”を作っている。

そのフィンランドで、数年前から「シリアスゲーム」と呼ばれる非娯楽系分野に参入する企業が増え始めた。医療系、シミュレーション系などさまざまなものがあるが、中でも数十社が参入し、盛り上がっているのは教育系ゲームだ。

 ピアノや犬の声使って楽曲制作

最近、日本でもITと教育を融合させた「EdTech(エドテック)」と呼ばれる分野がじわじわと発展しつつある。ゲーム会社がゲームのノウハウを生かして開発したものでは、ドリコムの英語学習アプリ「えいぽんたん!」や、DeNAが昨年12月に始めた児童向け通信教育サービス「アプリゼミ」などがある。ただ、日本ではこのようなアプリは自宅学習用が大半で、学校での活用は「アプリゼミ」が今年4月に都内公立小学校1校で採用された程度と事例に乏しい。

対してフィンランドでは、数百校で使われるようになった教育系ゲームも現れており、現場への浸透度は日本の比ではない。現場で使われることで、新サービスが次々生まれるという好循環が始まっている。

ソング・ハイ・エンターテインメントの「SongHi for Schools」はすでに210校で採用されている

実際にはどんなゲームが人気を集めているのだろうか。ネット上で子どもでも簡単に作曲できるアプリが、モバイルゲームを手掛けるソング・ハイ・エンターテインメントの「SongHi for Schools」。ピアノやギター、ドラム、犬の声など約150種類の音源を自由に組み合わせ、40秒くらいの長さの音楽を制作・共有できる。

学校向けのサービスで、リリース初年度の2013年度に早くもフィンランドの全小学校の1割に当たる210校で採用された。価格は1校につき1年500ユーロ(7万円)。「子どもがものすごく熱中する」と教師からの評判も上々だ。

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