対中強硬策、「南シナ海日米共同監視」浮上 "ジャパン・ハンドラー"が突き動かす安倍政権

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7月14日、都内でリチャード・アーミテージ元米国務副長官、ジョセ フ・ナイ・ハーバード大教授、マイケル・グリーン元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、ジョン・ハムレ 戦略国際問題研究所(CSIS)所長、デニス・ブレア元国家情報長官らジャパン・ハンドラーたちが一堂に会する記者会見が行われた

7月14日にはアーミテージ氏やナイ氏、グリーン氏に加え、ジョン・ハムレ戦略国際問題研究所(CSIS)所長やデニス・ブレア元国家情報長官らジャパン・ハンドラーたちが一堂に会する記者会見が東京であった。笹川平和財団が主催する「日米安全保障研究会」の中間報告の場に彼らが集ったのだ。会場のホテルオークラ東京には、筆者を含め、約70人の内外の記者や撮影クルーが取材に来ていた。

笹川平和財団といえば、戦前は右翼政治家で、戦後は一時、A級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに拘留された故・笹川良一氏が創立した財団法人日本船舶振興会(現・日本財団)の下部組織。笹川平和財団という日本最大級の公益財団法人が、米国の対日政策の重鎮たちをもてなしている姿は、日本の中枢を支配する保守層が今も米国頼みを続けている戦後の構図を如実に映し出している。なお、日本財団の下部組織には、米有力シンクタンクのCSISと協力関係にある東京財団も含まれている。

アーミテージ氏はその14日の記者会見で、日本の集団的自衛権の行使容認で、自衛隊の米艦防護や国連平和維持活動(PKO)での駆け付け警護が可能になると述べ、日本の決定を高く評価した。「"We are actually thrilled.(私たちは本当に興奮している、喜んでいる)」という感情的な表現さえも用いて、安倍内閣の閣議決定を称えた。

CSISの幹部であるハムレ氏やグリーン氏らは16日、麻生財務相や自民党の岩屋毅安全保障調査会長らとも会合を持ち、意見交換した。 

アーミテージ・リポートが指摘していたこと

日本の集団的自衛権の行使容認は、もともとアーミテージ氏が2000年10月に発表した「アーミテージ・リポート」の中で求められていた。同リポートは「日米同盟を米英関係のように強化すべきだ」と主張、集団的自衛権の行使禁止によって日米の同盟協力が制約を受けている、と指摘していた。共著者として、前述のナイ氏やグリーン氏、キャンベル氏らおなじみの知日派が加わっていた。

このリポートを発表した直後の2001年4月に発足した小泉内閣は、集団的自衛権の行使容認には至らなかったが、その行使容認の必要性に触れた「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書を2004年に出している。そして、小泉内閣時代は、日本が「極東の英国」とも呼ばれるほど、日米同盟が蜜月化するに至った。

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