防衛装備移転三原則に大きな抜け穴

初めての2事例を検証すると問題だらけ

日本が購入するF35戦闘機に搭載するミサイル技術を日英で共同研究することになった(写真:U.S. Navy/アフロ)

日本政府は7月17日、国家安全保障会議(NSC)の閣僚会合を開き、迎撃ミサイル「パトリオット2(PAC2)」の部品の米国への輸出と、F35戦闘機搭載のミサイル技術をめぐる日英共同研究を認めた。日本の武器と関連技術の海外移転を原則として禁じてきた長年の禁輸政策を転換して、4月に定めた「防衛装備移転三原則」の下で初めてとなる2事例だ。

こうした武器の輸出解禁と国際共同開発は、日本の防衛企業の海外市場進出への足掛かりになるものだ。輸出による量産効果で自国での生産・開発コストを押し下げ、生産力や研究生産基盤を維持できるメリットがある。また、他国の高度な技術を吸収し、開発リスクの分散化も図れる。軍備のハイテク化で兵器価格が高騰するなか、社会保障費等の増大で財政難の日本にとっては、とりわけ兵器の調達コストを削減することが急務になっている。

防衛装備移転三原則とは?

4月に新たに定められた「防衛装備移転三原則」は以下の3つになっている。(1)紛争当時国や国際条約違反国など移転を禁止する場合の明確化、(2)平和貢献や我が国の安全保障に資する場合など移転を認め得る場合の限定と厳格審査、(3)目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保、だ。

しかし、こうした「防衛装備移転三原則」を今後もどこまできっちりと厳格に適用し、紛争当事国への流出を防止できるのかなど、課題も多い。特に日本は唯一最大の同盟国、米国の対外武器輸出の動向に左右され、敏感にならざるを得ない。米国は特別扱いとなっており、日本がなかなか歯止めをかけられないのが実情だ。そして、十分な人員体制と情報収集力を確保した専門部局による的確な判断や管理体制がなければ、いかに日本企業が独自の先端技術や製品を有していても、企業現場では海外進出にいつまでも二の足を踏む事態が予想される。今のところ、1987年の東芝機械ココム違反事件のような事態を恐れ、防衛装備品の輸出にはいまだおっかなびっくりの日本企業が少なくない。

今回、NSCで米国に輸出されることが決まったのは、地対空ミサイルPAC2のシーカー(目標捜索装置)に組み込まれている三菱重工業が生産するジャイロと呼ばれる部品。全長約6センチのこのパーツは、ミサイルが正確な軌道を動くよう姿勢を検知するもので、三菱重工はこの技術を航空機や衛星、船舶の姿勢制御にも用いている。

三菱重工は米防衛大手レイセオンのライセンスを受けて航空自衛隊のPAC2とその部品であるジャイロを生産してきたが、レイセオンによるジャイロ生産は既に終了。米国がPAC2の輸出を続ける中、三菱重工に対し、ジャイロを供給するように要請していた。

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