早稲田政経が粉砕「数学不要論」の先にある大革命 「暗記中心」の教育から脱却してプロセス重視へ
早稲田大学政治経済学部の一般入試で、数学を必須科目(数学I・A)にした今年2月からの改革に関して、筆者は東洋経済オンラインの記事『私大文系の「数学不要論」を打ち消す早大の快挙』(4月13日配信)で取り上げ、多くの反響をいただいた。
この改革は「私大文系は数学が不必要」という日本固有の迷信を過去のものにする大きな功績だと考える。しかし、それが他に波及しなければ、線香花火のように終わってしまうことを危惧していた。
しかし最近になって、線香花火を夜空に輝くオーロラのように発展させる動きが明るみになってきた。それは文部科学省が、個々の大学の入試改革を促進させるために、文系学部入試での数学必須化などには、補助金を増やす制度を創設する方針を固めたという報道があるのだ(7月8日付読売新聞オンライン)。
日本の教育が数学を大切にする方向へ
筆者が評価したいのは補助金の額ではなく、文科省の姿勢である。参考になる話題を一つ紹介したい。筆者は元来、拙著などのほか新聞でも「数学は答えを当てるマークシート式ではなく、答えを導く論述式がよい」と訴え続けてきた(読売新聞「論点」2013年5月28日、朝日新聞「私の視点」2013年5月18日、等々)。
また日本数学会が2012年2月21日に、「大学入試問題の数学はできるかぎり記述式にする」ことを訴える声明を発表したのをきっかけとして、本務校の桜美林大学では翌年の一般入試から、全面記述式の数学問題をメインの日程に取り入れたのである。
それについては一部で話題になったものの、他大学に影響を与えるような大きな流れには至らなかった。大学のネームバリューが違うと言われればそれまでであるが、最近になって文科省も各大学での記述式入試問題を評価する姿勢を示しただけに、残念でならない。
今回の早大政経学部入試改革は、多くのマスコミから好意的に取り上げられ、さらに文科省もサポートする姿勢を示しているのであれば、日本の教育が数学を大切にする方向に舵を切ると予想するのである。
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