私大文系の「数学不要論」を打ち消す早大の快挙

大学入試の歴史的経緯から考える数学必須化

早稲田大学が政治経済学部の一般入試で数学を必須科目にしたことによる効果とは(写真:haku/PIXTA)

早稲田大学は2018年に、政治経済学部の一般入試で数学を必須科目(数学I・A)にすること等々を発表し、3年間の周知期間を経て今年2月に実施した。数学が必須科目になることによる受験生の激減は当初から予想されていたとはいえ、2020年の5584人に対し今年の3495人には改めて驚かされる。

当然、この問題はマスコミでもいろいろ取り上げられているが、主に「~大学の受験生が増えた・減った」という観点から論じているようだ。本稿では主に、大学入試の歴史的経緯と「数学」の観点から考えてみよう。

「少科目入試」が増えた背景

振り返ってみると、1980年代後半から「個性尊重」や「多様な人材を集める」などという理由による“入試改革”が私立大学文系学部を中心に始まった。それは、少子化による受験生減少の時代に向けて、「少科目入試」による「偏差値の吊り上げ」が本当の目的であった。

およそ入試での偏差値は、生徒が受験した科目の日頃の成績と合否結果で算出する。たとえば、英語と社会だけで受験できる某私立大学があるとする。A君は数学と理科の偏差値は35であるものの、英語と社会の偏差値は70とする。Bさんは数学、理科、英語、社会どの科目の偏差値も65とする。

その大学の受験結果でA君は合格しBさんは不合格になったとすると、その大学は偏差値70の人は合格するものの偏差値65の人は不合格になる“超ハイレベル”な大学ということになる。

このような少科目入試を私立大学文系学部が始めた頃は、1科目を入試必須科目から外すと偏差値は5ポイント上昇することが相場であった。外す対象として最も狙われたのが言うまでもなく数学である。

トップクラスの私立大学も少科目入試路線に突入したものだから、中堅以下の私立大学は理念などかなぐり捨てて少科目入試を導入し、一部では1科目入試どころか「けん玉合格」などの“一芸合格”も流行ったのである。

そのような流れでとくに迷惑を被った学問は経済学であろう。「私大経済(文系)学部では、数学は不必要」という、世界の中で「日本固有の迷信」を確固たるものにしてしまった。

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