――主人公はそういった状況を変えていこうとします。その姿勢には共感しますか。
個人的には本当に共感できました。一方、それをどう表現するかがカギでした。私はこれまで信念を持った強い女性や自分に自信を持って生きる賢い女性を多く演じてきましたが、本作で演じた主人公は常に自身をちっぽけな存在だと思っていて、自分に何ができるのかと悩んだり不安になったりしています。そんな主人公がそれを克服できたのは、まわりの仲間のおかげでした。それは私にも共通するところです。
性格的にはまったく正反対の面を持ったキャラクターで、小心者でありながら大胆、楽天的でありながら神経質なところもある。相反するふたつの面を持っているキャラクターであることを表現することに気を使って演じました。

――その生き方や性格は、コ・アソンさんと似ているところもありますか。
似ているところはありません(笑)。なので、意図的に似せようとしました。たとえば、私はもともと内気な性格なのですが、彼女を演じるにはそれを変えなくてはいけないと思い、撮影現場で意図的に自分からいろいろな人に話しかけたり、外見的な部分で大人しそうに見えないように意識してビジュアルを作ったり、できるだけ社交的にふるまっていました。
――現代を生きる若い世代の女性に、本作からどんなことを感じてほしい?
最初に脚本を読んだときは、明るくてかわいい物語で人々に勇気とファイトを与えてくれる作品だと思ったのですが、読み進めていくにつれてとても深いメッセージが込められていることに気づいたんです。劇中に「生活のなかで仕事にたくさんの時間を費やしている。だからその時間のなかで、誰かの助けになりたい」というセリフがあります。
仕事はただ単にお金を稼ぐだけではない。自尊心を満たすものでもあり、仕事を自分にとって意味のある時間にしたい。みなさんそう思っていることを私は学びました。そういったメッセージが観客のみなさんに伝わるとうれしいです。
世界進出に成功する韓国エンタメ界の内情
――いま韓国芸能界でお仕事をされているなかで、いまだに女性の仕事の役割や活躍の場が限られていると感じることはありますか。
深く考えたことはありませんが、私より前の世代の方々の努力のおかげで、いまは1990年代とはだいぶ変わってきていると思います。たしかに女性の監督やプロデューサーはまだまだ少ないということはありますが、それもいま変化している最中だと言えます。
『サムジンカンパニー1995』の製作会社の社長は、1990年代のころは一般企業で会社勤めをしていました。その経験からこの企画を立ち上げることにつながっています。私も1990年代の女性の仕事や生き方について学ぶいい機会をいただいたので、いまの女優としての立場や職場環境などをしっかり考えて、社会にメッセージを投げかける気持ちで本作に臨みました。
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