「サムジンカンパニー」が映す韓国企業風土の変遷 韓国人気女優から見た90年代の企業の男女格差

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――映画や音楽など韓国エンターテインメントは世界進出を成功させています。韓国芸能界で活動するなかで、業界の意識が世界へ向いていることを感じることはありますか。

昨年あたりから映画だけでなくアートも含めた幅広い韓国文化が世界で評価を受けていて、本当に驚くべき業績だと思います。そういった世界進出の意識を持ち、それを成し遂げているアーティスト、スタッフなど関係者に敬意を表します。私も韓国文化に携わる仕事をするひとりとして、がんばっていきたいです。

いまはコロナのつらい時期です。あとから振り返ったときに世界での活躍は、そんな時期に人々に明るい希望を与えた偉業として記憶されること。この業界に携わるものとして大切なことだと思っています。

コ・アソン 1992年生まれ。子役として活動し、2004年からテレビドラマに出演。映画デビュー作となるポン・ジュノ監督・脚本『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)で一躍脚光を浴びる。ポン・ジュノ監督・脚本のハリウッド大作『スノーピアサー』(2013年)ヒロイン役のほか、『ビューティー・インサイド』(2015年)などで着実に実力派女優としての道を歩む (写真:映画配給会社提供)

――コ・アソンさんもハリウッド映画『スノーピアサー』に出演されていますが、世界での俳優活動を目指していますか。

世界進出したいという気持ちよりも大事にしていることがあります。関わる1つひとつの作品をしっかりといいものにし、自分自身をどんどん磨いて、成長していくこと。そうすれば、自然とそれが広く知られていって、活動の場も国を超えていくかもしれない。いまはそういう時代だと思います。海外で仕事をすることではなく、自分自身のオリジナリティを磨くことを私の個人的な目標にしています。

――ハリウッドの撮影現場から得たことはありますか。

あれほどの大規模なスタジオとセットは初めてでした。最初にセットに足を踏み入れたときの空間の圧倒感は、いまだ記憶に鮮明に残っています。

ハリウッド映画の製作スケールの大きさを肌で感じました。撮影や演出の手法、それが映像としてどう反映されるかなどは大変勉強になりました。言葉の違う海外の俳優さんと演技をするのも初めての体験でしたし、すべてが新しい経験になりました。とても楽しかった思い出です(笑)。私にとって唯一のSF作品であり、いま振り返っても韓国映画とはまったく異なる、未来に近づいた現場だったと感じます。

世界進出において何より大切なオリジナリティ

――アカデミー監督のポン・ジュノさんとは、彼の2作でヒロインを演じています。

いちばん印象に残っているのは、撮影までの準備を念入りにして、完璧な状態になって初めて現場に臨む方ということです。それとは反対に、現場ではたくさんの変数があり、予期していないことがいつも起きるのですが、それも大事にします。そこで起こることすべてを作品に活かすような撮り方をしているのが印象的でした。

――世界で成功するために俳優として必要なものとは?

先ほども申しましたが、俳優としてのオリジナリティではないでしょうか。俳優の評価とは、すばらしい作品にどれだけ多く出演しているかに尽きます。1作ごとに誠意を込めて作品に向き合うことを大事にしています。たしかに韓国には世界を目指す方がたくさんいますが、私はナンバーワンではなく、自分ならではのオリジナリティをしっかりと持ったオンリーワンになりたいと思っています。

(文中一部敬称略)

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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