原作ファンが怒る「ざんねんな映像化」頻発の背景

原作者は映像化にどこまで口出しできるのか

なぜ原作ファンを怒らせる「ざんねんな映像化」が繰り返されるのでしょうか(写真:BUKET TOPAL/iStock)
「万能鑑定士Q」「高校事変」「千里眼」といったミリオンセラー・シリーズで知られる、松岡圭祐氏が新書『小説家になって億を稼ごう』を上梓した。同書内で松岡氏は「億を稼いだ作家たち」が実践してきた、一般的に知られていない手段を解説、知られざる業界の真実についても次々に明らかにしている。本稿では『小説家になって億を稼ごう』を一部抜粋し再編集のうえ、「なぜ原作ファンを怒らせる“ざんねんな映像化”が繰り返されるのか」その生々しい内実を紹介する。

「原作者=地主」の心得

原作者として、自分の小説が映像化されたあかつきには、「ファーストシーンはこんな感じで、こんな音楽が流れて、俳優の○○さんがこういう仕草で登場して……」と、理想の映像版を思い描くのは当然です。そのように製作者側に約束させたくもなるでしょう。けれども映像版の著作者は、あくまで製作者であり、原作者ではありません。

映像化において「原作者は地主」です。以下の例え話を心に留めておいてください。

貴方が空き地を耕していると、見知らぬ業者が近づいてきます。「いい土地をお持ちですね、スーパーマーケットを建てましょうよ」と業者が言います。

地主である貴方は考えます。スーパーなら大きな収入も見込めるでしょう。土地の使用料が入ってくるうえ、地域経済にも貢献できます。ただしどんなスーパーマーケットが建つのか、いささか不安がよぎります。貴方は業者に伝えます。

「基本的には了承したいけど、私の意見も汲んでもらいたいんですが」

「もちろんですよ!」

業者は目を輝かせながら契約書を差しだしました。

「地主様のご意向は最大限に尊重させていただきます。さあここに署名捺印を」

……印鑑を捺したが最後、建ったのはラブホテル。1階のエントランス脇に、お総菜を売る店が入っているというだけで、スーパーだと言い張られてしまいました。

貴方は業者に抗議しますが、もう建ってしまった物はどうしようもないと居直られます。ラブホテルが建ったことで、周辺住民から眉をひそめられ、土地の価格も急落。そんな業者に土地を貸した貴方の評判もがた落ちです。

しかもラブホテルは年中閑古鳥が鳴き、結局倒産の憂き目に遭います。残ったのは価値を失った土地に建った廃墟のみ。もう貴方の土地を使わせてくれという新たな業者は、永遠に現れません。

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