「半沢直樹」最大の立役者が大和田である理由 主人公を超える話題性を生み出す絶妙な仕掛け

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香川照之さんが演じる大和田暁(写真右)をうまく活用していることが「半沢直樹」の凄みを象徴しています(東洋経済オンライン編集部撮影)

9月6日放送予定の第8話が「コロナ禍による制作スケジュールの遅れ」を理由に延期が発表されただけでネット上は大騒ぎ。「1週間の楽しみが……」「残念すぎる」などと嘆く声が飛び交ったことが「半沢直樹」(TBS系)の人気を象徴しています。

しかし、代替番組が「『半沢直樹』のキャスト、スタッフによる生放送」であることがわかったとたん、ムードが一変。「やっぱり大変なんだな。頑張って」「7年間も待ったんだから大丈夫」「1週長く楽しめるわけだし、これはこれで楽しみ」などのポジティブな声が増え、さらにツイッター上で生放送用の質問を受け付けはじめると歓喜の声があがりました。

全話世帯視聴率20%超えに加え、放送のたびにツイッターのトレンドランキングを席巻し、各メディアが関連記事を量産するなど、話題性という点では、すでに「前作超え」の呼び声も高い続編。放送前は「さすがに遅すぎた」「続編は質が落ちる」などと不安視する声もありましたが、大和田暁が話題の中心となって盛り上げることで、それを払拭してしまいました。もちろん主人公の半沢直樹を演じる堺雅人さんは期待通りの活躍を見せていますが、第7話までの立役者は香川照之さん演じる大和田だったのです。

ここでは「作り手の“大和田暁活用法”」「大和田を演じる香川照之さん」「大和田に対する視聴者の反応」という3つのポイントから、大和田がいかに話題性を高め、快進撃の立役者となっているのか。その理由を挙げていきます。

大和田は「悪役のお手本」として君臨

真っ先にふれておきたいポイントは、作り手たちの“大和田暁活用法”。今回の原作小説である池井戸潤さんの『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』に大和田の登場シーンはありません。もともと存在しないにもかかわらず、主人公の半沢と同等レベルのインパクトを残しているのですから、作り手が思い切って大和田の登場シーンを作っていることがわかるのではないでしょうか。

小説や漫画の実写ドラマ化は、とかく原作のファンから「余計なことをするな」などと変えることを批判されがちであり、ほとんど脚色を加えない作品も少なくありません。しかし、今回の続編は登場しないはずの大和田をフル活用し、しかも「宿敵の半沢と手を組む」という大胆な脚色を加えたのです。

次ページこの脚色は作り手による“ファンサービス”
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