「半沢直樹」最大の立役者が大和田である理由 主人公を超える話題性を生み出す絶妙な仕掛け

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この脚色は作り手による“ファンサービス”。大和田の登場は、前作のドラマを見ていたファンを喜ばせるとともに、『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』を読んだ原作のファンにも新たな展開と結末を用意したのです。つまり、すべてのファンに応える脚色だからこそ、視聴率と評判の両方を獲得できているのでしょう。

特に原作を読んだ人は、「あのストーリーに大和田はどう絡んでくるのだろう?」「次は何をやってくれるのかな」とワクワクしているようであり、SNSには「原作が進化している」「こういう実写化なら大歓迎」などの称賛も見られます。

もう1つ作り手の“大和田暁活用法”として特筆すべきは、他の登場人物を大和田の言動に近づけるような演出をしていること。7年が過ぎた今も、前作の最終話で見せた土下座のシーンが印象に残る中、伊佐山泰二(市川猿之助)を筆頭に、三笠洋一郎(古田新太)、諸田祥一(池田成志)、広重多加夫(山崎銀之丞)、曾根崎雄也(佃典彦)らが大和田に近いトーンの言動を見せています。大和田は続編でも悪役のトップであり、言わば“悪のお手本”のような存在として配置しているのでしょう。

興味深かったのは、第7話で半沢が大和田に協力を求めたシーン。主人公の半沢までもが、「お~ね~が~い~し~ま~す!」と明らかに大和田のトーンに合わせていました。このシーンこそ、大和田が“もう1人の主人公”であることを物語っていたのです。

関係性が変わるシリーズ作の醍醐味

さらに作り手たちは、俳優たちのアドリブを引き出し、次々に採用する懐の深さを見せています。また、その中心に大和田がいるのは間違いありません。

とりわけ大和田が放つセリフは、第1話の「施されたら施し返す、恩返しです」、第2話の「お・し・ま・い・death(です)」、第4話の「死んでも嫌だね!」、第6話の「そうなったら頭取もチンヴォツ(沈没)!」、第7話の「債権放棄は絶対だ。絶対、絶対に絶対です!です!ですです!です!」など、ネット上は大いに盛り上がりました。

「流行語大賞へのノミネート確実」と言われる話題性はもちろん、視聴率に直結するリアルタイム視聴にもつながるなど、一石二鳥の効果を生み出しているのです。原作にも台本にもなかったセリフでこれだけの効果を生み出しているのですから、いかに「作り手たちによる“大和田暁活用法”がうまくいっているか」がわかるのではないでしょうか。

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