「半沢直樹」最大の立役者が大和田である理由 主人公を超える話題性を生み出す絶妙な仕掛け

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3つ目のポイントは、「大和田に対する視聴者の反応」。前作の大和田は視聴者にとって憎き悪役でしたが、続編では放送が進むにつれて愛すべきマスコットのような存在に変わりつつあります。

ネット上に「大和田待ち」という言葉が飛び交うほど、視聴者はその登場と一挙手一投足に注目。大人たちはもちろん子どもたちも、「お・し・ま・い・death」「死んでも嫌だね!」などのセリフをマネして楽しんでいることが、最大のネタとなっていることを物語っています。前作では最終話の土下座シーンまで、半沢の「倍返し」をマネしている人がほとんどだっただけに、続編では明らかに変化が見られるのです。

また、数日前、あるウェブメディアが「最終話の最後で頭取になった大和田が半沢に辞令を出す」という記事を報じました。このようなネタバレにあたる記事はタブーであるうえに、その内容に疑いの目を向ける人が多かった一方、驚かされたのは「もし大和田が頭取になったら……」などと想像して楽しむ人が少なくなかったこと。なかには想像を膨らませて、「最後に大和田が改心して善人になり、半沢の父親が眠る墓へ行って謝罪してほしい」なんて声も見られました。

すでに大和田というキャラクターは、視聴者が放送中に愛のあるイジリやマネをして盛り上がるだけでなく、「いろいろと想像して楽しめる」というエンターテインメントになっているのです。

残り3話、終了後は「大和田ロス」必至

「異例中の異例」とも言えるドラマ放送期間中の生番組「生放送!!半沢直樹の恩返し」は、はたしてどんなものなのか? すでに堺雅人さん、及川光博さん、片岡愛之助さん、児嶋一哉さん、そして香川照之さんの出演が発表されていますが、ある意味ドラマ以上に貴重で、誰も見たことのないタイプの番組だけに、本編同様に盛り上がることは間違いないでしょう。

そして、今月27日に迎える最終話まで、残すは3話のみになりました。政府という強大な敵は、半沢1人で戦うには厳しすぎる相手だけに、「再び大和田と共闘し、さらに黒崎駿一(片岡愛之助)も加わったトリオの結成なるか」「あの大和田なら、もう一度、半沢の前に大きく立ちふさがるのではないか」などと、さまざまな声があがりはじめています。

原作を大胆に脚色する「半沢直樹」の作り手たちなら、絵に描いたような大団円だけではなく、サプライズも含めて楽しませてくれるのではないでしょうか。いずれにしても最終話の終了後は、日曜夜に気分が沈み込む「サザエさん症候群」ならぬ「半沢直樹症候群」を叫ぶ声、さらには「大和田ロス」を嘆く声が飛び交うのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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