コロナ禍で露呈「トヨタ生産方式」の決定的な弱点 利益を出すために無駄を省きすぎた末路

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新型コロナウイルス発生初期のアメリカ・テキサス州にあるスーパーの在庫棚の様子。多くのビジネスはコロナ禍で深刻な物不足に陥った(写真:Nitashia Johnson/The New York Times)

現代世界の成り立ちを語るとき、産業効率に飛躍的な進歩をもたらした大先生としてトヨタ自動車の名前は外せない。この日本の自動車メーカーは、部品を必要なときに必要なだけ工場に届けることで在庫を極限までそぎ落とす「ジャスト・イン・タイム(JIT)」生産方式の先駆者だ。

半世紀以上にわたり、このアプローチは世界中の企業を魅了してきた。その影響力は自動車業界の枠をはるかに超える。ファッション、食品加工、製薬など、さまざまな業種の企業が機動性を保つためにJITを取り入れ、市場の変化への対応とコスト削減を両立させてきた。

本家本元の自動車業界が「ガス欠」

ところがコロナ禍による経済の混乱で、在庫を持たない経営のメリットに疑念が生じている。「一部の業界はJITを徹底するあまり混乱に打たれ弱くなったのではないか」との懸念にあらためて火がついたのだ。パンデミックが工場の操業を妨げ、世界の物流を混乱に陥れたことで、世界各国は電子機器から木材、衣料品に至る広範な物不足に悩まされている。

激しく揺れ動く世界経済にJITは追いつけていない。

JITへの過度な依存は、同生産方式を生み出した自動車業界に最も顕著に表れている。自動車メーカーは、主にアジアで生産されている半導体不足に苦しめられている。半導体は自動車生産に欠かすことのできない重要部品だ。その半導体が十分に手に入らなくなったことから、自動車の組立ラインはインド、アメリカ、ブラジルなど、さまざまな地域で停止を余儀なくされている。

物不足が広範囲にわたって持続している現状から見えてくるのは、いかにJITの発想が商業活動を支配するようになったか、だ。ナイキなどのアパレルブランドが小売店に対し店頭在庫を積み増しさせるのに苦労しているのは、ある意味でJITの影響だ。建設会社が塗料やシーリング材の調達に難儀する一因もJITにある。パンデミックの初期段階では個人用保護具が悲惨なまでに不足し、最前線で働く医療従事者が半ば「丸腰」となったが、こうした事態を招いた主因もJITにあった。

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