WBCを基軸とする「野球の世界戦略」が頓挫しそうな現状は、NPBにとっても深刻な事態だといえる。今、少年野球選手に「将来の夢は?」と聞くと半数以上が「世界で活躍したい」「WBCに出たい」「メジャーリーガーになりたい」という。「甲子園に出たい」「プロに行きたい」よりも明らかに多い。「侍ジャパン」のWBCでの活躍が、子どもたちに「新天地」の存在を知らしめたのだ。
日本野球は競技人口の急減に苦しんでいる。いろいろ原因はあるが「昭和の野球」そのままの旧弊な上下関係や、科学を軽視しいまだに精神論を振り回す指導者なども大きな要因となっている。端的に言えば「閉塞感」が漂っていた。WBCに侍ジャパンが出場することは、日本野球の天井に穴をあけるような意味があったと思う。
パリ五輪で野球競技は開催されない
侍ジャパンの稲葉篤紀監督はNPB公式戦が行われている各球場を視察し、五輪代表の選考に余念がない。予定通りであれば7月28日から試合が行われるが、わずか6チームがリーグ戦とトーナメントを組み合わせたルールで戦い、8月7日に決勝を迎える。
しかし次回のパリ五輪では野球競技は行わないことが決まっている。五輪もWBCも先が見えない中で「侍ジャパン」の存在意義が薄らいでいる。
NPBは、2005年から「アジアシリーズ」を主催してきた。日本、韓国、台湾、中国、オーストラリアなどが参加して、各国の優勝チームによって「アジア王者」を決めてきたが、2013年を最後に中断している。
NPBも新型コロナ禍で苦しいところだが「世界」を視野に入れた展開は、日本野球の今後を展望するうえでも重要だ。アマチュア野球界とも連携して「アジアシリーズ」など日本が主導する「世界戦略」を再始動すべきではないか。
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