同じ本の中では、Agile (アジャイル:俊敏な)開発手法やアーキテクチャなどが重要なものとして紹介されています。 これもトヨタに似たような考え方があります。トヨタの重要な経営理念のひとつである「現地現物主義」です。これは、創業者の豊田喜一郎氏の言葉ですが、豊田章男社長も大事にしている言葉です。
資本の力が弱かったトヨタが世界に対抗するために、現場の工夫による製品の改良(不良品の減少)が必要だったということが背景にあります。現場での些細な問題や変化に気づき、迅速に改善を繰り返していくことをトップ自ら重視しているのです。この現地現物の理念と『リーンスタートアップ』に紹介されているアジャイルの考え方は、よく似ています。
ソリューションは要件定義が先
イノベーションとは異なり、ソリューションという場合には、要件定義がまず先に必要になります。経営上の課題があって、現状分析し解決策を開発し実行するシステム開発の手法がソリューションです。多くの場合、業務効率向上やコスト削減などを目的としています。
課題が明確になっている場合、その原因を分析し、システム要件を明確にした上で、開発や導入計画を作り、工数見積もりや投資対効果を算定し実行する。これらの企画や計画は、経営全般において、非常に重要なことであるのは間違いないでしょう。
ただし、ソリューションというと、大きな構想に対して、莫大な費用が必要になる場合もあるため、最初からきちんとした構想や計画、投資対効果などの算出が必要になってきます。戦略的な課題(例えば、新規事業、新規市場などの拡大策)では、ソリューションアプローチはあまり適さないのです。
新事業や新規市場に関しては、その現状分析する事実そのものが非常に限られたており、仮説を設定して計画を策定する訳ですが、仮設に入れるパラメーターを少しでも間違えれば、シミュレーション結果は大きく狂ってしまうことになります。そんな仮説を前提としたら、投資対効果の算定は非常に難しいか、根拠の無いものと言えるでしょう。
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