イノベーションは、事前に要件定義できない まず「シンプルな一歩」、そして「たゆまぬ改善」

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新しい事業や製品は、最初から高度なものより、初期の段階はシンプルで値段も安いもので始まり、市場の要求と共に進化させ機能追加し、事業が拡大していきます。初めから将来要求される機能や品質をデザインインできるはずがないのです。

一例として、当社の事例を挙げます。創業者でCEOのマーク・ベニオフが1999年、35歳で創業するときの発想は「なぜ、企業のシステムは、アマゾンやヤフーの様に、簡単に使えないのだろうか」というものでした。

最初は、簡単なコンタクト・マネジメントという機能から始まりました。顧客ごとにカスタマイズできる設定機能もありません。これは、法人向けのサー ビスとしては致命的でした。その後、継続的な改良が加えられ、15年経った今でも年3回のペースでバージョンアップをしています。

まず必要最小限の機能を作りいち早く市場に投入。顧客の要望を聞きながら、求められている機能を付け加えていくというビジネスの進め方は、トヨタの創業期に似ているといえるでしょう。機能を追加する中で当初の企画と全く異なるものになっている場合もありますが、ある規模になった時に、初めて外部からはイノベーションと認められるようになります。

つまり、どんなに斬新であっても、アイデアだけでは、イノベーションとはいえません。シンプルなアイデアを実行に移し、実験し、多くの人の意見をも らい、改良を加えて、社会に普及した時、イノベーションと呼ばれるのです。 教訓は「小さくてもいいので、まずは真っ先にやってみる」ということでしょう。

 

リーン生産方式の原点はトヨタ生産方式

最近の米国西海岸で成功している企業の共通点として、「Lean Start Up(リーンスタートアップ、リーンとは"削ぎ落とした"という意味)」という言葉があります。リーン生産方式と言う考えがあって、その考えを新規企業の経営に応用した話です。

『リーンスタートアップ』の著者であるエリック・リース氏が日本で講演をした時に、会場から「この考え方は日本で通用するだろうか」との質問があったそうです。その際に、著者は「リーン生産方式の原点はトヨタ生産方式です。日本が原点であり、合わないはずがない」と答えたそうです。

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