売り上げを50倍に拡大したクラウド大手 セールスフォースが本社を丸の内へ

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企業向けのクラウドサービス大手であるセールスフォース・ドットコム日本法人(港区六本木)は12月6日、本社を東京駅前のJPタワー(千代田区丸の内)に移転することを明らかにした。JPタワーの家主である日本郵政は、セールスフォースの大口顧客でもある。3フロアを借り、13年夏の入居を予定している。

セールスフォースは2000年4月に渋谷駅前にある渋谷マークシティウエストのインキュベーションファシリティの一室でうぶ声を上げた。規模拡大に伴い03年12月には同じ渋谷区内の恵比寿ビジネスタワーへ移転。08年4月からは、ネットベンチャーの聖地ともいえる六本木ヒルズ森タワーへ移転し、現在に至っている。

今回の引越しについて宇陀栄次社長は「私が入社した2004年と比べると日本法人の売り上げは50倍、従業員数は15倍になった。オフィスが手狭になったため規模拡大が必要だったのが第一の理由だ」と説明する。が、ほかの大きな狙いもある。

「銀行のように見られたい」

宇陀社長は丸の内への本社移転に込めた狙いを次のように説明する。

「丸の内に本社を構えることは大きなブランドだ。六本木にいるとインターネットベンチャーのように見られることが多いが、むしろ銀行のように硬い存在として見てほしい。そのためにも、丸の内へ本社を置く意味は大きい」。

「これまでの重要顧客の推移をみると損保ジャパン、みずほから始まり、日本郵政、そして経済産業省のエコポイント、トヨタ自動車と広がった。2011年12月には東京にデータセンターも構えた。これからは日本に根付いた企業として、企業文化を育てていくことが重要なフェーズに入った」。

丸の内に移動しても、現在と同様、フリーアドレス、フリードリンクなどオープンなオフィスの雰囲気は維持するという。「丸の内に本社を置けば、六本木とは違うタイプの人材も集まってくると思う。それが今から楽しみ」と宇陀社長。「日本法人では今後さらに5倍以上の売り上げ成長を目指している。丸の内本社はそうした成長のことも考えて設計をしていきたい」(宇陀社長)。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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